平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問44 解説 サービスデスクの評価指標
サービスデスクのインシデント管理に関する評価指標①~③のうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 ① SLAで定められた目標対応時間内に対応が完了したインシデントの割合 ② インシデントの平均解決時間 ③ 対応が終了していないインシデントの割合
- ①,②
- ①,③
- ②,③
- ①,②,③ ✓ 正答
解説
サービスデスクの管理状況を数値で把握できるかどうかを判断する問題です。インシデント管理において「品質」や「効率」を測定するための客観的な指標として、提示された3つの項目がいずれも適切であるかを検討します。
インシデント管理を評価する指標とは
サービスデスクにおいて、発生した問い合わせや障害(インシデント)に適切に対応できているかを評価するためには、定量的な数値(KPI:重要業績評価指標)が必要です。
①の「SLA(サービスレベル合意)で定められた目標対応時間内に対応が完了したインシデントの割合」は、顧客との約束が守られているかを評価するための指標です。これは顧客満足度に直結する最も重要な指標のひとつです。
②の「インシデントの平均解決時間」は、チームの対応効率を測る指標です。平均してどのくらいの時間をかけて問題を解決しているかを把握することで、人員配置やトレーニングの必要性を判断できます。
③の「対応が終了していないインシデントの割合」は、いわゆるバックログや滞留状況を示します。対応が完了していないものがどれだけ残っているかを追うことで、サービスデスクがパンクしていないか、特定の案件でボトルネックが発生していないかを監視できます。
これら3つはいずれも、サービス運営の健全性を可視化するために必須の指標です。
指標を読み解く思考プロセス
問題を解く際は「これらはサービスデスクの管理者がレポートとして提出する内容として自然か?」という視点を持つとスムーズです。
- SLA遵守率(①)は、対外的な約束事の達成度を確認するために必須です。
- 平均解決時間(②)は、業務の効率性や生産性を改善するために不可欠です。
- 未解決インシデントの数や割合(③)は、現場の負荷状況を確認するために不可欠です。
どれか一つでも欠けると、サービスデスクの運用状態を多角的に把握することが難しくなります。「品質」「効率」「負荷」という異なる観点からインシデント管理を評価するために、すべてが適切な指標であると判断します。
実務で役立つ定量管理の視点
ITパスポートでこの項目を学ぶ意義は、単に用語を暗記することではなく、「定性的な対応を定量的に改善する」というシステム運用の基本サイクルを理解することにあります。
実務において、サービスデスクの担当者が「忙しい」と感じているだけで終わらせるのではなく、平均解決時間や未解決件数をグラフ化することで、経営層に「人員を増やすべき理由」や「ツールを導入すべき理由」を客観的なデータとして説明できるようになります。このように、個人の感覚に頼らず、数値をもとに改善プロセスを回す手法は、ITIL(ITインフラライブラリ)をはじめとするサービス管理の現場で広く実践されている考え方です。