平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問91 解説 ECRSによる業務改善
Mさんは,〔業務改善の企画書作成に関する上司からの指示〕の(2)に基づいて,業務改善の観点を廃止(Eliminate),統合(Combine),置換え(Rearrange),簡素化(Simplify)とし,改善のためのアイデアを複数作成した。〔関係者への追加インタビュー結果メモ〕にある“掲載されている写真が違っている”に対して,簡素化の観点から立案されたアイデアとして,最も適切なものはどれか。
- ア 写真の掲載をやめる。
- イ 商品ごとの掲載写真の数を絞り込む。 ✓ 正答
- ウ 登録内容をシステムでチェックする。
- エ 登録内容をまとめてベテラン担当者が目視でチェックする。
解説
この問題は、業務改善のフレームワークであるECRS(イクルス)の各要素を正しく分類できるかを問うものです。 「簡素化(Simplify)」の定義は、作業そのものを単純にする、あるいは手順を減らして負荷を軽くすることです。「写真の数を絞り込む」ことで確認の手間が減り、ミスが起きにくくなるため、これが簡素化の解となります。
ECRSの原則とは
ECRSは、業務改善を行う際に検討すべき4つの視点をアルファベット順に並べたものです。効率化を進める際、この順番で検討すると効果が高いとされています。
- Eliminate(廃止):その業務自体をやめられないか。不要な工程を削除します。
- Combine(統合):複数の業務を一緒にできないか。担当者や工程をまとめます。
- Rearrange(置換え・交換):順番や担当者、方法を変えられないか。外注化やシステム化もここに含みます。
- Simplify(簡素化):作業を単純にできないか。複雑な手順を誰でもできる簡単な形にします。
今回の選択肢で言えば、アは「写真を載せない」という廃止(Eliminate)、ウやエはシステム化や人手によるチェックの入れ替えという置換え(Rearrange)に分類されます。
誤った選択肢を選ばないための考え方
問題文では「簡素化(Simplify)」が求められています。簡素化のポイントは「現在の業務をなくしたり、他の手法に置き換えたりするのではなく、現状の手順をどうやって楽にするか」という点にあります。
- 廃止(ア):業務の一部を「やめる」こと。
- 置換え(ウ、エ):やり方を「変える」こと(自動化やベテランへの委譲)。
- 簡素化(イ):業務の難易度やボリュームを「減らす」こと。
写真の数が多ければ、チェックする側も掲載する側も混乱が生じます。「数そのものを減らす」というルール変更を行うことで、チェック作業の対象範囲が狭まり、結果として作業が簡素になります。このように、まずは各選択肢が「ECRSのどの段階に該当するか」を当てはめていくのが、この種の設問を解く王道プロセスです。
業務改善の現場における重要性
この知識は、ITパスポートの試験だけでなく、実際のビジネス現場でも極めて重要です。多くの職場では、何か問題が起きた際に「チェック体制を強化しよう(置換え)」や「システムを導入しよう(置換え)」という対策に飛びつきがちです。
しかし、そもそもその作業自体が不要ではないか(廃止)、もっと手順を減らせないか(簡素化)という視点を忘れると、業務量は減るどころかかえって複雑になります。ECRSは、業務の本質を見抜き、無駄のないスマートな改善案を立案するための思考の武器となります。