平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問6 解説 MBOの定義
M&Aの手段の一つであるMBOに該当するものはどれか。
- ア 親会社による子会社の買収
- イ 競合会社による買収
- ウ 経営陣による自社の買収 ✓ 正答
- エ 子会社による親会社の買収
解説
選択肢のキーワードから正解を導く
MBOという用語は、Management Buyoutの略称です。Managementは「経営陣」、Buyoutは「買い取り」を意味します。したがって、名称そのものを日本語に直訳することで、経営陣が自社の株式を買い取るという正解の選択肢に直結させることができます。他の選択肢は、単なる買収や企業再編の別の手法を指しています。
MBOの仕組みと目的
MBOは、企業の経営陣が、投資ファンドなどから資金調達を行い、自社の株式を既存の株主から買い取る手法です。
この手法を用いる最大の目的は、経営の独立性を高めることです。上場企業の場合、経営陣は株主から短期的な利益追求や株価向上を強く求められます。これに対し、MBOを実行して非上場化することで、短期的な市場の評価に左右されず、中長期的な視点で大胆な改革や構造転換を進めることが可能になります。
例えば、親会社の方針により十分な投資が受けられない事業部門が、経営陣による独立を通じて、より柔軟で迅速な経営判断を行いたいといったケースでよく活用されます。
経営戦略としての位置づけ
MBOは単なる「買い取り」の手続きではなく、経営戦略上の重要な選択肢です。企業は成長段階に合わせて、他社との提携や、あるいは逆に一部門の切り離しを検討します。試験においては、以下の用語と混同しないように整理しておくと万全です。
- EBO(Employee Buyout):従業員が自社を買収すること。
- TOB(Takeover Bid):株式公開買付けのこと。不特定多数の株主から市場外で株式を買い集め、支配権を取得する手法。MBOの過程で、経営陣がTOBを行うこともあります。
- M&A(Mergers and Acquisitions):合併と買収の総称。企業を統合する手法全般を指します。
このように、M&Aという広い枠組みの中に、MBOという「誰が買い取るか」という特定の手段が存在しているという構造を理解しておきましょう。
ビジネス現場での活用
IT業界においても、MBOは珍しい手法ではありません。例えば、大手のITコンサルティング会社から特定部門が独立する際、あるいは業績不振により親会社の事業ポートフォリオから外されることになった事業部門が、経営陣の主導で再出発を図る際などに用いられます。
ITパスポートでは、こうした経営用語を単に暗記するだけでなく、その手法がどのような目的で選択されるのかという「背景にある経営意図」まで読み取ることが求められます。技術職であっても、会社がどのような構造変化の中にあり、どのような経営方針を掲げているのかを理解することは、より良いプロダクト作りやサービス開発へと繋がります。