平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問7 解説 生産ラインの生産能力
ある部品の生産ラインは二つの工程 A, B の順で構成されており, 各工程の機械台数, 部品1個の生産に要する作業時間, 不良率は表のとおりである。1日の稼働時間を10時間とするとき, この生産ラインの1日の生産能力(良品が生産される数)は何個か。ここで, 工程 A での不良品は工程 B には送らないものとする。また, 機械の故障時間や段取り時間, 工程間の仕掛品在庫は考えないものとし, 仕掛中のものは終了時間が来ても最後まで仕上げるものとする。
- 171 ✓ 正答
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解説
この問題は、生産ラインにおける工程ごとの処理能力と良品率を順を追って計算することで解くことができます。
手順は以下の通りです。
- 1日の総稼働時間を分単位に換算する:
- 工程Aの生産可能個数を計算する:
- 工程Aから工程Bへ送られる良品の数を計算する:
- 工程Bの処理能力を確認する: ※工程Aから送られてくる190個は、工程Bの能力(300個)以内のため、すべて処理可能。
- 工程Bでの最終的な良品数を計算する:
生産管理における歩留まりとボトルネックの考え方
この問題のポイントは、全体の生産能力を決定する要素を正しく特定することです。
工程が直列に並んでいる場合、後段の工程に進むにつれて、前段で発生した不良品が取り除かれます。つまり、生産ライン全体の成果物は「各工程の良品率の積」によって決まることになります。この、投入した数に対する良品の割合を「歩留まり(ぶどまり)」と呼びます。
また、各工程には「処理能力」という上限があります。ある工程の処理能力が他の工程よりも低い場合、そこが全体の流れを滞らせる「ボトルネック」となります。今回は工程Aの能力が200個、工程Bの能力が300個であるため、このラインの最大投入可能数は工程Aの能力に制限されています。
数値化して捉える思考プロセス
問題を解く際は、全体を一度に考えるのではなく、川の流れのように「上流から下流へ」順番に処理していくのが確実です。
まず、入り口(工程A)でどれだけの数が処理され、何個の良品が次工程へ流れるのかを求めます。次に、その流れてきた数に対して、次の工程(工程B)が物理的に対応可能かどうかを判断します。もし工程Bの能力が工程Aよりも著しく低ければ、そこが生産の限界値となりますが、今回は工程Bの方が処理速度が速いため、工程Aから送られてくる全量を処理できるという判断が可能です。最後に、その処理された分に対して良品率を適用することで、最終的なアウトプットを算出できます。
現場の生産性と品質管理
この知識は、ITシステムの処理フローや、工場の製造プロセスなど、ビジネスにおける「業務フローの最適化」を行う際に不可欠です。
例えば、Webサイトの会員登録プロセスを想像してみてください。「入力」「確認」「登録」という工程があり、それぞれのステップで離脱(=不良品に相当)が発生するとします。全体のコンバージョン率を高めるには、どのステップで最も脱落者が多いのか(ボトルネックはどこか)、あるいはどこで品質を改善すれば歩留まりが向上するのかを分析する必要があります。
ITパスポート試験においてこの問題が出題される意図は、単なる計算練習だけでなく、システムや組織を「複数の工程の組み合わせ」として捉え、全体のパフォーマンスを定量的に評価する視点を養うことにあります。