平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問8 解説 SCMの目的
サプライチェーンマネジメントの目的はどれか。
- 生産, 販売, 物流など個々のプロセスの不要な在庫の削減やリードタイムの短縮によって, プロセス全体の最適化を図る。 ✓ 正答
- 生産, 販売, 物流などの業務全体の効率や生産性を改善するために, 業務内容や手続を根本的に見直して再構築を行う。
- 生産, 販売, 物流などの業務全体をアウトソーシングすることによって, 効率改善とコストダウンを図る。
- 生産, 販売, 物流などの個々のプロセスに加え, 財務や経理なども含めた経営資源を一元的に管理する。
解説
正解を選ぶための考え方
サプライチェーンマネジメント(SCM)という用語を見たら、キーワードである「供給連鎖(サプライチェーン)」「全体最適」「在庫削減」「リードタイム短縮」のいずれかが含まれている選択肢を探します。個々の部門の改善ではなく、企業間も含めた「全体の流れ」を最適化することが目的であるため、これが最も適合する選択肢が正解となります。
サプライチェーンマネジメント(SCM)の仕組み
サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、物流、販売を経て最終消費者に届くまでの「モノの供給の流れ」を指します。この連鎖(チェーン)を一つの組織のように捉え、情報を共有して管理する手法がSCMです。
たとえば、製造業において「部品メーカー」「製品工場」「物流センター」「小売店」が別々に在庫管理を行うと、どこかで過剰在庫になったり、逆に欠品が発生したりするリスクがあります。SCMでは、POSシステムなどで得た消費者の需要情報を上流の部品メーカーまで瞬時に連携させます。これにより、無駄な在庫を抱える必要がなくなり、注文から納品までの時間(リードタイム)を大幅に短縮できます。
選択肢を分析するプロセス
問題文にある各選択肢は、情報システムや経営管理に関する代表的な用語を指しています。
・生産, 販売, 物流など個々のプロセスの不要な在庫の削減やリードタイムの短縮によって, プロセス全体の最適化を図る これがSCMの定義です。供給プロセス全体を俯瞰して、無駄を削ぎ落とすことが主眼です。
・生産, 販売, 物流などの業務全体の効率や生産性を改善するために, 業務内容や手続を根本的に見直して再構築を行う これは「BPR(Business Process Reengineering:業務プロセス再設計)」の説明です。業務の抜本的な見直しを指します。
・生産, 販売, 物流などの業務全体をアウトソーシングすることによって, 効率改善とコストダウンを図る これは「外部委託」や「BPO(Business Process Outsourcing)」に近い考え方です。SCMは必ずしも外部委託を前提としません。
・生産, 販売, 物流などの個々のプロセスに加え, 財務や経理なども含めた経営資源を一元的に管理する これは「ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)」の説明です。ヒト・モノ・カネ・情報の統合管理を指します。
ビジネス現場におけるSCMの重要性
現代のビジネスでは、顧客のニーズが多様化し、製品のライフサイクルが短くなっています。このような環境下で企業が生き残るには、在庫リスクを最小限に抑えつつ、顧客が欲しいものをすぐに届けられる体制が不可欠です。
特に、スマートフォンの普及やECサイトの拡大により、消費者の反応がリアルタイムで分かるようになりました。これに呼応して、製造業や流通業は、膨大なデータを活用して需要予測を行い、無駄のない生産計画を立てるという「データ駆動型のSCM」へ進化させています。ITパスポート試験では、SCMが単なる「物流の効率化」ではなく、「経営戦略として情報を活用し、企業全体の付加価値を高める手法である」という視点が問われることが多いため、技術面と経営面の両方から理解しておくことが重要です。