平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問19 解説 技術開発戦略立案
技術開発戦略立案の作業を①~⑤の順で行う場合, a に当てはまるものはどれか。
- ア. 技術開発推進体制の整備
- イ. 技術と環境の変化の予測 ✓ 正答
- ウ. 新製品の売上, 利益目標の設定
- エ. テストマーケティングの実施
解説
技術開発戦略の立案プロセスは、現状の把握から始まり、外部環境の分析、内部能力の評価、そして具体的な戦略の策定へと流れます。まずは「何をすべきか」を特定した直後に、その技術が将来どう変化するかを予測しなければ、誤った投資計画を立てることになります。したがって、設問の「a」には、技術動向や市場環境の変化を読み解く「技術と環境の変化の予測」が入ります。
戦略立案の論理的な流れ
戦略立案とは、闇雲に物事を進めるのではなく、論理的な手順を踏むことで成功の確率を高める活動です。
- 抽出:まず、自社や市場に関連する技術を広く洗い出します(ステップ1)。
- 予測:その技術が将来的にどう変化するか、社会がどう変わるかを考えます(ステップ2:今回問われている部分)。
- 見極め:将来予測に基づき、どれが自社の強みとして生きるかを選別します(ステップ3)。
- 評価と選定:自社の現在の実力を冷静に分析し、どの分野を重点的に強化するかを決めます(ステップ4)。
- 決定:最後に、いつまでに何を達成するかという優先順位と、具体的なロードマップを策定します(ステップ5)。
この一連の流れは「外(市場や技術トレンド)を見てから、内(自社のリソースや強み)を判断する」という基本原則に基づいています。
思考を整理するためのアプローチ
この種の問題を解く際は、作業が「抽象的な分析・予測」から始まり「具体的な計画・実行」へと向かっているかを確認してください。
選択肢を見ると、アの「推進体制の整備」やウの「利益目標の設定」、エの「テストマーケティングの実施」は、いずれも「技術開発を具体的にどう進めるか」や「ビジネスとしての成果」に関する項目です。これらは戦略の土台となる環境分析(ステップ2)が終わった後のプロセスとして位置づけられます。まだどの技術に注力すべきかも決まっていない段階で、体制や目標を決めることは非効率的であると判断できます。
ビジネス現場における技術開発戦略の重要性
ITパスポート試験でこのプロセスが問われるのは、企業が限られた資金や人材(リソース)を、どの分野に集中させるかを決める意思決定のプロセスを理解してほしいという意図があります。
例えば、新しいAI技術が台頭しているときに、それを自社が活用すべきかどうかを判断するには、その技術が一時的な流行なのか、それとも社会インフラになるような変化なのかを予測(ステップ2)しなければなりません。この予測なしに、ただ既存の体制を整えたり、漠然とした売上目標を立てたりしても、市場環境とズレた的外れな開発になってしまいます。このように、技術開発戦略の立案は、単なる事務作業ではなく、企業の存続を左右する重要な経営判断の一環なのです。