平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問34 解説 プロジェクト計画
プロジェクトの人的資源の割当てなどを計画書にまとめた。計画書をまとめる際の考慮すべき事項に関する記述のうち,最も適切なものはどれか。
- ア 各プロジェクトメンバの作業時間の合計は,プロジェクト全期間を通じて同じになるようにする。
- イ プロジェクト開始時の要員確保が目的なので,プロジェクト遂行中のメンバの離任時の対応は考慮しない。
- ウ プロジェクトが成功することが最も重要なので,各プロジェクトメンバの労働時間の上限は考慮しない。
- エ プロジェクトメンバ全員が各自の役割と責任を明確に把握できるようにする。 ✓ 正答
解説
プロジェクト運営の基本ルールを見極める
この問題は、プロジェクトマネジメントにおける人的資源計画の目的を理解していれば、論理的に正解を導き出せます。「誰が何を担当するのか」が曖昧なプロジェクトは混乱を招くため、役割と責任の明確化が最も適切であると判断します。
人的資源管理の重要性
プロジェクトマネジメントにおいて、人的資源の管理とは、限られた人員を効率的に配置し、成果を最大化するための活動です。この計画段階で最も重視されるのは、誰が何をやるのかという責任分界点です。これを「誰が」という人間(Resource)と「何を」という作業(Task)を紐付けて定義することで、初めてチームとしての一体感が生まれ、作業の重複や漏れを防ぐことができます。
不適切な選択肢を排除する思考プロセス
各選択肢をマネジメントの現実的な視点で検討すると、なぜ誤りなのかが明確になります。
アは、プロジェクトの特性を無視しています。プロジェクトの開始期、作業のピーク時、終盤のテスト時期など、時期によって必要な作業量は激しく変動するため、時間を均一に固定することは不可能です。
イは、リスク管理の観点が欠落しています。人の異動や急な欠勤はプロジェクトにおいて典型的なリスクです。あらかじめ交代要員の確保や引き継ぎのルールを検討しておくことは計画の基本です。
ウは、メンバの健康管理(コンプライアンス)を軽視しています。労働時間の上限を無視した無理な計画は、過労によるパフォーマンス低下や離職を招き、結果としてプロジェクトの失敗につながります。
現場で求められる役割分担の考え方
この問題の教育的な意図は、単なる知識の暗記ではなく、「プロジェクトの成功にはメンバー全員の納得感と規律が必要である」という実務的な視点を問うことにあります。
実務においては「責任分担表(RACIチャートなど)」と呼ばれる手法がよく活用されます。誰が実行責任(Responsible)を持ち、誰が説明責任(Accountable)を負うのかをマトリクス形式で明確にすることで、指示系統の混乱を防止します。この考え方は、小規模なチームから数千人規模のプロジェクトまで共通する、マネジメントの最も基礎的な要諦と言えます。