平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問40 解説 共通フレームの目的
システム開発における共通フレームの目的として,適切なものはどれか。
- コンピュータシステムの運用・管理業務に関して体系化されたガイドラインを提供する。
- 事業者間などで用語やその意味する内容が異なっていることを想定し,相互の理解を助けるための共通の物差しを提供する。 ✓ 正答
- システム開発時に管理・技術の両面で組織における情報セキュリティを確保するための対策を提供する。
- プロジェクト管理において必要な知識を体系化して提供する。
解説
共通フレームは「共通言語」と覚える
共通フレーム(共通フレーム2013など)に関する問題は、その目的である「共通言語の定義」というキーワードを探すことで即答できます。システム開発や取引において、発注者と受注者がバラバラな用語を使うと認識齟齬が生まれます。これらを防ぐために「この言葉はこういう意味ですよ」と定義した「共通の物差し」こそが共通フレームの本質です。
共通フレームとは何か
共通フレーム(SLCP: Software Life Cycle Processes)は、ソフトウェアのライフサイクル(企画から開発、運用、保守、廃棄まで)における作業内容や用語を標準化したものです。
システム開発の現場では、同じ「設計」という言葉でも、人によって詳細設計を指していたり、基本設計を指していたりと、解釈が異なることがよくあります。このような曖昧さをなくすために、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定めたのが共通フレームです。これにより、契約の際やプロジェクトの進捗報告を行う際、互いに食い違いのないコミュニケーションが可能になります。
誤答選択肢を整理する
他の選択肢は、共通フレーム以外の有名なガイドラインや手法を指しています。これらを混同しないように整理しましょう。
・コンピュータシステムの運用・管理業務に関する体系化されたガイドライン:これはITIL(Information Technology Infrastructure Library)の説明です。ITサービスマネジメントのベストプラクティス集です。 ・情報セキュリティを確保するための対策:これはISO/IEC 27001などの情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する説明です。 ・プロジェクト管理に必要な知識を体系化:これはPMBOK(Project Management Body of Knowledge)の説明です。プロジェクトを成功させるための管理手法をまとめています。
試験では「共通フレーム=共通言語」「ITIL=運用・サービス」「PMBOK=プロジェクト管理」という対応を頭に入れておくことで、消去法で確実に正解を導くことができます。
なぜこの知識が重要なのか
実務において、この概念は「契約の前提」として非常に重要です。例えば、システム開発の契約を結ぶ際、共通フレームに沿った用語定義を行うことで、後から発生しがちな「言った言わない」のトラブルを防ぐ防波堤になります。
システム開発は人間同士の共同作業であるため、技術力以前に「同じ物差しで話せる環境を作ること」がプロジェクト成功の第一歩となります。試験問題の意図も、単なる用語の暗記を問うのではなく、開発現場におけるコミュニケーションコストを下げ、円滑な取引を行うための「ビジネスの基盤」を理解しているかを問うています。