平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問41 解説 保守プロセスの目的
システム開発における保守プロセスの目的に関する説明として,次の記述中の a, b に入れる字句の適切な組合せはどれか。 保守プロセスは,障害への対応,性能の改善などを行うために, a の システムやソフトウェアを b すること,又は変更された環境に適合させ ることを目的とする。
- ア. 納入前 運用
- イ. 納入前 修正
- ウ. 納入後 運用
- エ. 納入後 修正 ✓ 正答
解説
この問題は、キーワードのタイミングと定義を照らし合わせることで解決できます。「保守」という言葉が指すのが「システムが完成して引き渡された後」のことであると分かれば、aには「納入後」、その活動内容である「ソフトウェアを修正する」という点からbには「修正」が入ると導き出せます。
保守プロセスとは何か
システム開発におけるライフサイクルには、大きく分けて「開発プロセス」と「運用・保守プロセス」があります。
開発プロセスは、要件定義から設計、実装、テストを経て、システムが顧客に納入されるまでの期間を指します。これに対して、保守プロセスは、完成したシステムが実際の現場で使われている期間(=運用期間)に発生する活動です。
システムは一度納入したら終わりではなく、以下のようなニーズに対応する必要があります。
- 障害対応:予期せぬ不具合が見つかった場合の修正
- 性能改善:利用者が増えたことによる処理速度の向上
- 環境適応:OSのバージョンアップや法律の改正に伴うプログラムの書き換え
これらはいずれも、既に稼働している「納入後」のソフトウェアに対して行う「修正」の作業です。
なぜこの選択肢が正解になるのか
思考プロセスを整理すると以下のようになります。
- 空欄aについて考える:保守はシステムが利用されている最中に行われる活動です。開発中の作業は「開発」や「テスト」と呼ばれます。したがって、納入「前」ではなく「後」が適切です。
- 空欄bについて考える:運用プロセスの中でシステムに変更を加える活動を指しています。運用という言葉は「システムを動かすこと全体」を指すのに対し、保守は「不具合を直したり、環境に合わせたりする」という具体的な行為を指します。選択肢の中では「修正」が最も保守プロセスの目的を的確に表しています。
この絞り込みにより、納入後と修正の組み合わせである選択肢エが唯一の正解となります。
実務における保守の重要性
ITパスポートの試験では、この問題のように「開発」と「運用・保守」の境界線を問う問題が頻出します。
実際の現場では、システムの生涯コスト(TCO:Total Cost of Ownership)の多くが、実は開発時ではなく、この「保守」の期間に発生すると言われています。システムは作ってからが本番であり、適切に保守を行うことが、安全で安定したシステム運用に直結します。システムエンジニアやプロジェクトマネージャを目指す上で、保守とは単なる修理作業ではなく、システムの寿命を延ばし、価値を維持・向上させるための不可欠なプロセスであるという意識を持つことが大切です。