平成26年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問19 解説 PPMの領域定義
PPM(Product Portfolio Management)で“問題児”と呼ばれる領域の特徴として,適切なものはどれか。
- ア 市場占有率が高く,事業拡大のための積極的な投資を必要としないので,収益源となる。
- イ 市場の成長と高い占有率によって大きな売上がもたらされるが,競争力維持のために継続的な投資を必要とする。
- ウ 市場の成長率及び市場占有率がともに低く,長期的なビジネスの期待を掛けられないので,撤退も検討しなければならない。
- エ 市場は成長しているが占有率が低く,今後の収益の柱となる事業に育てるために積極的な投資を必要とする。 ✓ 正答
解説
PPMの4象限を整理して解く
この問題は、PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)の4つの分類を正しく理解しているかを問うものです。PPMでは、縦軸に「市場成長率」、横軸に「市場占有率」をとった2×2の表を用います。「問題児」は、市場は伸びている(高成長)が、まだ自社のシェアは低い(低占有)という立ち位置にある事業を指します。
選択肢を判断する際は、以下の対応表を頭に思い浮かべましょう。
- 花形商品:成長率高、占有率高
- 金のなる木:成長率低、占有率高
- 問題児:成長率高、占有率低
- 負け犬:成長率低、占有率低
正解はエです。市場が成長しているため、ここでシェアを伸ばせば将来の収益源になります。しかし、現在は占有率が低いため、他社に打ち勝つために多額の投資が必要という特徴があります。
PPMが示す事業戦略の本質
PPMは、企業が複数の事業を展開している場合に、どこに投資し、どこから撤退すべきかを判断するためのフレームワークです。
問題児(Question Marks) 市場は魅力的ですが、シェアが低いため利益はまだ出ていません。ここで「投資を続けて花形にする」のか、あるいは「見込みがないと判断して撤退する」のか、経営者の戦略的な意思決定が求められる領域です。
花形商品(Stars) 成長市場でトップシェアを握っている状態です。さらなるシェア拡大のために投資を継続しますが、成長スピードが早いため、売上と同時に多額の維持費もかかります。
金のなる木(Cash Cows) 市場の成長は止まりましたが、高いシェアを維持しているため、莫大な利益を生み出します。ここから得た資金を「問題児」の育成に回すのが理想的な資金循環です。
負け犬(Dogs) 成長も見込めず、シェアも低い事業です。投資しても利益は望めないため、原則として縮小や撤退が検討されます。
ビジネス現場での活用と教育的意図
PPMの考え方は、企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ)をどの事業に集中させるべきかという優先順位付けに役立ちます。
ITパスポートでこの知識が問われるのは、単に用語を覚えること以上に、経営状況を客観的に捉える視点を養うためです。例えば、あなたがIT企業の企画担当者であれば、既存のシステム開発事業(金のなる木)で稼いだ利益を、新しいAI関連サービス(問題児)に投資して育てるといった判断が必要になります。
このフレームワークを理解しておくことで、企業がなぜ特定の事業に注力しているのか、あるいはなぜ撤退したのかという経営判断の背景を論理的に読み解くことができるようになります。