平成26年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問35 解説 外部委託の管理
システムの開発を外部のベンダに委託する際に,納期及び品質を取り決めることにしている。調達に関する活動a~dのうち,取り決めた納期と品質を実現するために不可欠な活動として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a ベンダからの成果物の受入れテストを実施する。 b ベンダとの間で,進捗確認と問題解決のための共同レビューを行う。 c ベンダとの間で,取り決めたことについての合意文書を取り交わす。 d ベンダへの支払は,委託契約の支払条件に従って実行する。
- ア a, b, c ✓ 正答
- イ a, b, d
- ウ a, c, d
- エ b, c, d
解説
この問題は、外部委託(アウトソーシング)におけるプロジェクト管理の要点を問うものです。納期と品質を守るために必要なのは、契約内容の明確化、開発過程のモニタリング、そして最終的な成果の検証です。一方で、支払い行為自体は事務的な処理であり、納期や品質を直接的に作り出す活動ではないと判断することで正解を導けます。
納期と品質を守るための管理プロセス
システム開発において、ベンダーに委託するだけで「良いものが期限通りにできる」わけではありません。発注側には適切な管理能力が求められます。
- a(受入れテスト): 開発されたものが、当初の要求通りに動作するかを確認する工程です。品質を担保するための最後の砦となります。
- b(共同レビュー): 定期的に進捗や課題を共有することで、プロジェクトが計画から逸脱していないかを確認し、問題があれば早期に対処するための重要な活動です。
- c(合意文書の締結): 何をいつまでに作るのか、品質の基準は何かを文書化し、双方で合意することはトラブルを防ぐための大前提です。
これら3つは、プロジェクトの開始から終了まで一貫して「品質と納期を維持・確認する」ための行動です。
なぜ「支払い」は含まれないのか
選択肢dにある「支払いの実行」は、あくまで契約上の義務を果たす行為です。支払うこと自体がシステム開発の品質を向上させたり、遅延を防いだりするわけではありません。ITパスポート試験では、このように「目的(納期・品質の実現)」と「手段や事務手続き」を混同させない視点が求められます。
実務における調達管理の重要性
ITプロジェクトにおいて、外部ベンダーとの関係性は「丸投げ」ではなく「共同作業」です。もし発注側が受入れテストの手を抜いたり、進捗確認を怠ったりすれば、納期直前になってから大きな欠陥が見つかるという事態になりかねません。
この問題の教育的意図は、単に委託契約の用語を知っているかではなく、システム開発というプロジェクトをマネジメントする側として、どのようなアクションが成果物の品質と納期に直結するのかを理解させることにあります。実務の現場では、開発の全工程において、発注者が「何を確認すべきか」「どこに介入すべきか」という管理能力がプロジェクト成功の鍵を握ります。