平成26年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問86 解説 アローダイアグラム
機械メーカのS社では,製品Xに組み込むソフトウェア(以下,Xソフトという)の開発作業A~Hを表1のように計画した。ここで,前作業とは当該作業を開始する前に終了していなければならない作業のことであり,各作業は前作業が終了すればすぐに開始する。各作業に掛かった費用は,各作業完了時に計上する。 表1 Xソフト開発の作業 (表の内容は省略) 図1は,表1に基づいて作成したアローダイアグラムである。 (図の内容は省略)
- ア
- イ ✓ 正答
- ウ
- エ
解説
アローダイアグラムにおける問題の解き方は、全ての開始から終了までの経路(パス)を書き出し、それぞれの作業日数の合計を算出することです。本問の場合、開始から終了までの経路の中で、最も所要日数が長い経路であるクリティカルパスを特定し、その日数の推移を追うことで「何日目にどの作業が完了するか」を正確に把握できます。
クリティカルパスとプロジェクト管理の基礎
アローダイアグラムは、プロジェクトの各作業の順序関係を矢印で表した図です。この中で最も長い所要日数を持つ経路をクリティカルパスと呼びます。クリティカルパス上の作業が1日でも遅延すると、プロジェクト全体の納期も1日遅延することになります。
プロジェクト管理においては、以下の3点が重要です。
- 全体の最短所要日数を算出する(クリティカルパスの特定)
- 余裕のある作業(クリティカルパス以外の作業)を把握する
- リソース(人・時間・コスト)をどこに集中させるべきかを判断する
試験では計算の手順を問う問題が中心ですが、実務では「この作業が遅れたら全体の納期にどう影響するか」という影響範囲を視覚的に把握するための強力なツールとなります。
アローダイアグラムの読み方
この図では、丸で囲まれた「結合点」と、作業を表す「矢印」で構成されています。 前作業が終了しないと次の作業に進めないという制約条件を正しく理解することが第一歩です。また、ダミー作業(点線の矢印)が含まれる場合、それは作業時間を持たず、あくまで先行関係(依存関係)のみを規定するものである点に注意してください。
各パスの計算は以下の手順で行います。
- スタート地点からゴール地点までの全ての道順を書き出す
- 各作業の日数を足し合わせる
- 合計が最大になるルートがクリティカルパスである
現場でこの知識が役立つ場面
アローダイアグラムやその発展形であるPERT図は、システム開発だけでなく、建築、イベント企画、製造業など、複数の工程が複雑に関係し合うあらゆるプロジェクトで使われています。
例えば、開発現場では「設計が終わらないと実装ができない」「テストデータがないと結合テストができない」といった依存関係が必ず発生します。これらの工程を適切に並行処理(可能な作業は同時に進める)し、全体の納期を短縮するためには、クリティカルパスを常に意識したスケジュール管理が不可欠です。
特に、予算が限られている中で効率よく成果を出すためには、どこがボトルネックになるのか(どこがクリティカルなのか)を分析する能力が求められます。この問題で学んだ「工程の順序と合計日数の計算」は、将来のプロジェクトマネジメント業務の基礎体力となるスキルです。