平成26年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問87 解説 アローダイアグラム
機械メーカのS社では,製品Xに組み込むソフトウェア(以下,Xソフトという)の開発作業A~Hを表1のように計画した。ここで,前作業とは当該作業を開始する前に終了していなければならない作業のことであり,各作業は前作業が終了すればすぐに開始する。各作業に掛かった費用は,各作業完了時に計上する。 表1 Xソフト開発の作業 (表の内容は省略) 図1は,表1に基づいて作成したアローダイアグラムである。 (図の内容は省略)
- ア
- イ
- ウ ✓ 正答
- エ
解説
アローダイアグラムの計算問題では、開始点から終了点まで、各経路にかかる合計日数をすべて書き出し、その中で最も大きい数字を探すのが鉄則です。この最長経路のことを「クリティカルパス」と呼びます。
クリティカルパスを求める手順
今回の問題では、与えられた表から依存関係を読み取り、すべてのルートを洗い出します。
- 作業Aからスタートし、枝分かれするルートをすべて辿ります。
- 各ルートの所要日数を合算します。
- 最も時間がかかるルートが、プロジェクト全体の最小所要日数となります。
例えば、A→D→E→Hというルートであれば 日となります。この計算をすべての選択肢や可能性のある経路に対して行い、最短で何日かかるか(=最長経路の日数)を特定することで、正解の選択肢を導き出せます。
アローダイアグラムとクリティカルパスの概念
アローダイアグラム(PERT図)は、プロジェクトの各作業の順序と依存関係を矢印でつないだ図です。ここで最も重要なのがクリティカルパスです。
クリティカルパスは「この作業が1日でも遅れると、プロジェクト全体の完了日が後ろ倒しになる」という、ボトルネックとなる経路を指します。逆に、クリティカルパス以外の経路には「余裕」があります。例えば、クリティカルパスが18日なのに、ある作業経路の合計が15日であれば、その経路は3日遅れても全体の納期に影響を与えません。
この考え方は、IT開発現場において非常に重要です。プロジェクトマネージャは、クリティカルパス上の作業に重点的にリソース(人員や予算)を割り当て、全体の遅延を防ぐ調整を行います。
現場でどう活きるか
この知識は、実務における「スケジュール管理」の根幹をなします。
ITプロジェクトでは、要件定義、設計、実装、テストといった作業が複雑に絡み合います。ある工程が遅れたとき、それがプロジェクト全体にどう響くのかを即座に判断できる力が必要です。クリティカルパスを理解していれば、忙しい現場で「いま、どの作業を優先して片付けるべきか」「どこまでなら遅延が許容されるか」を論理的に説明できるようになります。試験問題としてはパズルに見えるかもしれませんが、これは大規模な開発を円滑に進めるための「地図」を読み解くトレーニングなのです。