平成26年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問94 解説 表計算の平均値算出
図3のテストの採点結果入力のワークシートのセルH53に, 全受講生のテストの平均点を表示したい。正しく平均点を求めることができないものはどれか。 〔ワークシートの説明〕 (1) セルB52~G52に, P~U組の受講生数をそれぞれ入力する。 (2) セルH52に, 式“合計(B52~G52)”を入力する。 (3) セルB53に, 式“平均(B2~B36)”を入力し, セルC53~G53に複写する。
- ア セルB54に, 式“B52*B53”を入力し, セルC54~G54に複写する。次にセルH54に式“合計(B54~G54)”を入力する。最後に, セルH53に式“H54/H52”を入力する。
- イ セルH53に, 式“合計(B2~G36)/H52”を入力する。
- ウ セルH53に, 式“平均(B2~G36)”を入力する。
- エ セルH53に, 式“平均(B53~G53)”を入力する。 ✓ 正答
解説
この問題は、データ集計における平均値の性質を問うものです。正解となる選択肢エが「正しく平均を求めることができない」理由は、各組の平均点を単に平均しても、全体の正しい平均点にはならないためです。
平均値計算の落とし穴:加重平均の考え方
平均点を求める正しい計算式は、 です。
選択肢エの式(平均(B53~G53))は、各組の平均点を足して組数で割る「平均の平均」を計算しています。しかし、各組の受講生数が同じでない限り、この値は全体の平均点とは一致しません。
例えば、以下のケースを考えてみましょう。
- P組:受講生10人、平均点80点
- Q組:受講生90人、平均点40点
この場合、正しい平均点は: となります。
しかし、選択肢エの計算式である「平均の平均」をとると: となり、正しい平均点とは大きく異なる結果になります。これが「平均の平均」が正しくない理由です。
統計データを取り扱う際の実践的な意義
この問題は、データ分析やスプレッドシート作成における基本的なミスを防ぐために重要です。ビジネスの現場では、売上データや満足度調査などで「グループごとの平均」を出す場面が頻繁にあります。
もし「拠点ごとの売上平均」を単純に平均してしまうと、人数の多い拠点や取引数の多い拠点のデータが過小評価(または過大評価)され、正確な全体像を見誤ることになります。ITパスポート試験においてこの問題が出題されるのは、数式機能の知識だけでなく、データの本質を正しく理解し、誤った統計指標を導き出さないための論理的思考力を確認する意図があると言えます。
データの集計方法を正しく使い分ける
正しい平均を求めるには、事前に各組の「合計点」を算出しておく必要があります。
- 各組の「受講生数」と「平均点」を掛けて、各組の「得点合計」を算出する(選択肢アのステップ)。
- 全ての組の合計点を足し合わせる。
- 全体の合計受講生数で割る。
このように、データが持つ重み(今回であれば受講生数)を考慮して計算することを「加重平均」と呼びます。日頃からデータ集計を行う際は、ただ関数を入力するだけでなく、「今算出している数値が何を表しているのか」を意識することが、ミスを減らす最大のコツです。