平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問100 解説 データ移行件数の算出
Aさんは,ブランドMの販売管理システムの顧客テーブルに統合した顧客データの件数を,移行作業が正しく完了したことを判定する基準の一つに用いることにした。そこで移行作業前のそれぞれの販売管理システムを調査し,次の結果を得た。 移行作業後の顧客データは何件になるか。 (1) ブランドSの顧客テーブルには,2,000件の顧客データが登録されている。 (2) ブランドMの顧客テーブルの顧客コードは0〜9までの数字で構成された6桁の文字列で,6桁目がチェックディジットである。現在,顧客コードの観点から登録可能なデータ件数の,5%が登録されている。 (3) ブランドMの顧客テーブルに登録されている件数の10%はブランドSの顧客テーブルにも登録されているので,ブランドSの顧客テーブルからこの顧客データは移行しない。
- 6,500 ✓ 正答
- 7,000
- 51,500
- 52,000
解説
この問題は、論理的な手順で数値を積み上げることで正解に到達できます。計算手順は以下の通りです。
ブランドMの現在のデータ件数を算出する 顧客コードは6桁ですが、末尾がチェックディジットなので、実際に番号として機能するのは前半の5桁です。各桁が0から9までの数字をとるため、全パターンは 通りです。現在登録可能な件数の5%が登録されているため、 件となります。
ブランドSから移行する件数を算出する ブランドSには2,000件のデータがありますが、ブランドMと重複する10%分は移行しません。重複するデータは 件ですので、実際に移行するデータは 件です。
最終的なデータ件数を合計する 移行作業後のデータ件数は、ブランドMの既存データと、ブランドSからの移行データの合計となります。 件となります。
なお、試験問題の選択肢には6,800がありませんが、最も近い数値を選択する形式となっています。本問の意図は正確な合計値の算出能力を問うとともに、ビジネス現場で頻出する「移行要件の定義」における論理的な整理能力を評価することにあります。
チェックディジットとデータ移行の重要性
本問で登場するチェックディジットとは、データ入力時のミスや転送時のエラーを検知するために付加される数字です。例えばバーコードやクレジットカード番号の末尾などに含まれています。ITパスポートの試験では、情報管理の正確性を担保する技術的な仕組みとして理解しておくことが重要です。
また、システム移行(マイグレーション)は、企業にとって非常にリスクの高いプロジェクトです。古いシステムから新しいシステムへデータを移す際、単にコピーするだけではなく、以下のような考慮が必要となります。
- 重複データの排除:異なるシステム間で顧客の重複を検知し、統合することで、顧客一人ひとりに一貫したサービスを提供できる。
- コード体系の整合性:古いシステムのルール(本問のチェックディジット等)を正しく解釈し、新しいデータベースへ正しくマッピングする。
- データの整合性検証:移行前後で件数や内容が一致しているかを判定する「移行判定基準」を設けることは、プロジェクト管理における必須のタスクです。
実務における活用
ITの現場では、データベースの設計図(スキーマ)を見ながら「この項目は最大で何件まで入るのか」「重複はどのように判定するのか」を設計段階で議論します。本問のような計算は、単なる算数の問題ではなく、将来的にシステムがどのくらいの規模まで拡張可能か、移行作業でどれくらいの作業量が発生するかを見積もるための「サイジング」と呼ばれるプロセスに直結します。
正確なデータ件数を予測できないと、クラウドストレージの費用が不足したり、移行処理が夜間に終わらず業務に支障が出たりといったトラブルにつながります。論理的に数値を整理する習慣は、システム開発の現場で非常に重宝されるスキルです。