平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問99 解説 アローダイアグラムと短縮
移行プロジェクトで作成した図1に示す移行作業のアローダイアグラムに対して, Aさんは次の指摘を受けた。 〔Aさんが受けた指摘〕 (1) M4の最後に移行作業の完了判定を行い,正しく完了しなかった場合,バックアップ媒体から移行作業前の状態に復旧して業務を継続する。この復旧作業には4.0時間を要する。 (2) 復旧作業を合わせて,当初の作業時間内に収める必要がある。 そこで,復旧作業の時間を確保するために,各作業の担当者にインタビューを実施し,対策案とその効果を検討した。表2に対策案1〜4に対する作業時間短縮効果を示す。次の記述中のb, cに入れる適切な組合せはどれか。 復旧作業の時間を確保するための対策案の組合せは, b と c である。
- 対策案1 対策案2
- 対策案1 対策案4 ✓ 正答
- 対策案2 対策案3
- 対策案3 対策案4
解説
この問題は、プロジェクト管理における「クリティカルパス」の概念を理解しているかを問うものです。
正解にたどり着くための基本的な手順は以下の通りです。
- アローダイアグラム(図1)から、作業の依存関係を確認し、最も時間がかかる経路である「クリティカルパス」を特定する。
- その全体の作業時間から、復旧作業に必要な「4.0時間」を差し引いても当初の期間内に収まるよう、クリティカルパス上の作業時間を短縮する。
- 提示された「対策案1〜4」をそれぞれ適用した場合の短縮効果を計算し、合計で4.0時間以上短縮できる組合せを探す。
クリティカルパスとスケジュールの考え方
アローダイアグラムにおけるクリティカルパスとは、プロジェクトの開始から終了までをつなぐ経路のうち、最も時間がかかる経路のことです。この経路上の作業が遅れると、プロジェクト全体の完了時期も遅れます。そのため、全体の期間を短縮したい場合、あるいは今回のように「復旧作業の時間(余裕)を捻出したい」場合には、必ずこのクリティカルパス上の作業を短縮する必要があります。
なぜこの知識が重要なのか
実務のプロジェクト管理において、すべての作業を同時に短縮するのはコストや人的資源の面から不可能です。そのため、プロジェクトマネージャは「どの作業を短縮すれば全体の期間に影響が出るのか(出ないのか)」を正確に把握しなければなりません。
もし、クリティカルパスではない作業をいくら短縮しても、全体の完了時間は短縮されません。無駄な努力を避け、最小限のコストで最大の効果を上げるために、クリティカルパスの特定と短縮はプロジェクト管理の基礎であり、非常に重要なスキルといえます。
この問題を通じて、単に「作業を速くすれば良い」のではなく、「ボトルネック(最も時間がかかる箇所)を見極めて、そこに重点的にリソースを投入する」という最適化の考え方を身につけることができます。