平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問18 解説 ロングテール現象
インターネットショッピングのロングテール現象の説明として,適切なものはどれか。
- ア. 売上高の大きな商品から得られる利益によって,売上高の小さな商品による損失をカバーすることができること
- イ. 商品を手にとって見ることができないので,店舗販売に比べて販売開始からヒット商品になるまでの時間が長く掛かるようになること
- ウ. 販売に必要なコストが少ないので,売上高の小さな商品を数多く取り扱うことによって利益を上げられること ✓ 正答
- エ. ブログに書かれた評価などの影響によって,商品の発売直後から販売が好調で,時間が経過しても衰えないこと
解説
正解の判断根拠
ロングテール現象とは、売れ筋商品(ヒット商品)だけでなく、あまり売れないニッチな商品群を合計することで、大きな収益を生み出すビジネス戦略を指します。インターネット販売では在庫や展示スペースの制約が少ないため、多種多様な商品を低コストで管理できます。この特性を活かし、売れ筋ではないが確実に需要がある商品を積み上げることで利益を得る仕組みを説明している選択肢が正解です。
ロングテール戦略の背景
実店舗とインターネット販売では、販売効率の考え方が根本的に異なります。
実店舗の場合、棚のスペースが限られているため、売れるかどうかわからない商品を置くよりも、確実に売れる売れ筋商品(パレートの法則でいう上位20%の商品)を優先して並べる方が効率的です。しかし、売れ筋商品に絞りすぎると、顧客の多様なニーズには応えられません。
一方、インターネット販売はオンラインのカタログで商品を展開するため、物理的な陳列棚を気にする必要がほとんどありません。倉庫にさえあれば、検索で見つけてもらえる限り、どのようなニッチな商品でも販売可能です。売上のグラフを左から右へ描いたとき、売れ筋の山(ヘッド)の右側に、売上は低いが種類は非常に多い長い裾野(ロングテール)が伸びる様子から、この名前が付けられました。
なぜこの知識がビジネスで重要なのか
この問題の教育的意図は、デジタル技術が従来の商慣習をどのように変革したかを理解させる点にあります。かつては「売れないものは在庫リスクになる」という理由で切り捨てられていた商品が、ITの活用によって収益源に変わりました。
現代のECサイトやデジタルコンテンツ配信サービス(音楽配信、電子書籍など)は、このロングテール戦略を基本戦術としています。「自分だけが好むようなマニアックな本や音楽が、なぜかオンライン書店でいつでも買える」という利便性は、まさに企業がロングテールを意識した品揃えを行っているからこそ実現されています。
この知識を理解しておくことで、新しいビジネスモデルを分析する際に「この企業は売れ筋のヘッドで稼ぐのか、それともニッチなロングテールで稼ぐのか」という視点を持てるようになり、IT活用の本質が見えやすくなります。
誤った選択肢の考え方
・アは、主にパレートの法則(80:20の法則)に関連する考え方ですが、ロングテールの定義とは異なります。 ・イは、商品の認知度やマーケティングの時間軸に関する記述であり、ロングテールの核心である「在庫コストの低さと取扱品種の多さ」とは関係ありません。 ・エは、バイラルマーケティングや口コミの影響力についての説明です。