平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問40 解説 ITサービスマネジメント
ITサービスマネジメントのプロセスに関する説明のうち,適切なものはどれか。
- ア ソフトウェア障害の根本原因を究明するのは問題管理である。 ✓ 正答
- イ ソフトウェアの変更要否を決定するのはリリース管理である。
- ウ ソフトウェアのバージョンを管理するのはインシデント管理である。
- エ ソフトウェアを組み込んで動作確認をするのは変更管理である。
解説
ITILにおけるプロセスの役割を整理する
この問題は、ITサービスマネジメントの国際的なガイドラインであるITIL(Information Technology Infrastructure Library)における主要なプロセスの役割を区別できているかを問うものです。正解を選ぶための判断根拠は、それぞれのプロセスが「何のために存在し、何をゴールとしているか」を明確に区別することです。
アが正解となる理由は、問題管理の目的が「障害の再発防止」にあるからです。インシデント(一時的な機能停止や性能低下)が起きた際、取り急ぎシステムを復旧させるのがインシデント管理、その後に「なぜそれが起きたのか」という根本原因を突き止め、恒久的な対策を考えるのが問題管理の役割です。
誤った選択肢を読み解く鍵
ITパスポート試験では、似たような役割を持つプロセスの混同を誘う出題がよくあります。今回の選択肢の誤りを正すことで、各概念をより深く理解できます。
イの「変更要否を決定する」のは変更管理の役割です。システムに手を加えるべきかどうか、リスクやコストを評価して承認を与えるのが変更管理です。リリース管理は、承認された変更を実際に本番環境へ安全に導入(リリース)するプロセスです。
ウの「バージョン管理」は構成管理の一部です。IT資産やソフトウェアの構成情報を正確に把握し、バージョンや設定状態を管理することを指します。インシデント管理はあくまで「サービスの早期復旧」が目的であり、構成アイテムを管理するプロセスではありません。
エの「組み込んで動作確認をする」のはリリース管理(あるいはデプロイメント)の役割です。先述の通り、変更管理は「やるかやらないか(承認)」の判断をするプロセスであり、物理的にシステムを操作してテストを行う実行部隊ではないという点が重要です。
実務現場におけるプロセスの重要性
これらの概念は、実際のシステム運用現場では「障害対応のスピード」と「再発防止の確実性」の両立のために不可欠です。
例えば、あるオンラインショップでログインできないという不具合が起きたとします。現場ではまずインシデント管理プロセスが動き、サーバーを再起動して即座にログインできるようにします。これでサービスは復旧しますが、根本的な原因がプログラムのバグであれば、同じことが翌日も起こるかもしれません。そこで問題管理プロセスがバグの改修を立案し、変更管理プロセスがその修正プログラムの適用を承認し、リリース管理プロセスが安全にシステムへ組み込む、という連携プレーが行われます。
各プロセスを独立したものとしてではなく、このように「連携する仕組み」として捉えることで、試験問題が実務のどのフェーズを指しているのかが自然と見えてくるようになります。