平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問94 解説 入力エラーチェック
申請画面での入力間違いを防ぐために,複数の入力項目間でシステムが行うことのできるエラーチェックはどれか。
- ア 決裁金額の入力が必要な種別の場合,決裁金額の入力がされているかどうか。 ✓ 正答
- イ 件名に対して,決裁金額が妥当かどうか。
- ウ 稟議内容が,件名に対して適切な記述になっているかどうか。
- エ 稟議内容に対して,必要な添付資料があるかどうか。
解説
この問題の解き方
この問題は、システムが自動的に行うエラーチェックの種類を判別する問題です。「複数の入力項目間で」という条件に注目しましょう。ある項目(種別)の値が決まったときに、他の項目(決裁金額)が入力必須かどうかを判定する「相関チェック」が正解の根拠となります。
データの入力チェックとは
システム開発において、ユーザーが入力したデータが正しいかを確認する処理を「入力チェック(バリデーション)」と呼びます。入力チェックには大きく分けて以下の3つのパターンがあります。
単項目チェック ひとつの項目だけを見てチェックする方法です。「必須項目が空欄でないか」「数値だけが入力されているか」「日付が正しい形式か」などがこれにあたります。
桁数・範囲チェック 値の長さや範囲を確認する方法です。「パスワードは8文字以上か」「年齢は0から120の間か」などを確認します。
相関チェック(整合性チェック) 複数の項目を組み合わせてチェックする方法です。「出発日より前を到着日に設定していないか」「種別が『特別申請』なら金額を入力する必要があるか」といった、項目間の論理的な整合性を確認します。
本問の選択肢アは、種別という項目と、金額という項目という、異なる二つのデータの間で発生する条件を確認しているため、この相関チェックに該当します。
なぜ他の選択肢は誤りなのか
選択肢イ、ウ、エに共通しているのは、人間が入力した内容の「意味」や「妥当性」を問うている点です。
例えば、「金額が妥当かどうか」を判断するには、その案件の規模感や過去のデータ、会社のルールなど、複雑な文脈を理解する必要があります。また、「稟議内容が適切か」を判断するには、言語の意味を理解する高度なAI技術が必要です。
コンピュータの基本的なプログラムにおいて、意味の妥当性を機械的にチェックすることは非常に困難です。そのため、システムが行う入力チェックは「データ形式やルールの整合性」という、機械的に判断可能な範囲に限られることを理解しておきましょう。
実務における重要性
この知識は、システム設計や仕様検討の場面で非常に役立ちます。
システム開発の現場では、プログラマーに対して「どの項目とどの項目を組み合わせてチェックすべきか」を明確に指示する必要があります。この定義が曖昧だと、入力ミスを見逃したり、反対にシステムが過剰に拒絶してユーザーの利便性を下げたりしてしまいます。
ITパスポート試験では、技術的な知識だけでなく、「システムは万能ではなく、プログラム可能なルールに基づいて動いている」という本質を問う傾向があります。相関チェックのような基本的な概念を理解しておくことは、DX推進や業務改善の現場で、システムに何をさせるべきかを判断する基礎体力となります。