平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問95 解説 稟議システムの処理フロー
稟議システムを用いた申請の流れは, 通常 (1) ~ (6) の順番で行われるが, 分岐して流れが変わる場合がある。次のうち, 流れが変わる処理はどれか。
- ア 申請者が申請前に稟議を一時保存する処理
- イ 申請者が申請を行った後, 同意者が稟議を参照可能とする処理
- ウ 全ての同意者が同意後に, 承認者が稟議を承認可能とする処理
- エ 問題があれば差戻しを行う際の処理 ✓ 正答
解説
この問題の解き方
この問題は、業務プロセスの「標準的な流れ」と「例外的な分岐」を見極める問題です。選択肢のうち、ア、イ、ウはすべて「申請→同意→承認」というゴールに向かうための順当なプロセスです。一方で「差戻し」は、不備があった場合にプロセスの前の段階へ流れを逆行させる処理であるため、標準フローから逸脱する例外的な動作として正解となります。
稟議システムにおけるフロー制御
稟議システムのようなワークフローシステムは、あらかじめ決められた手順に従って承認が進む仕組みです。通常、システム設計においては「正常系(ハッピーパス)」と「異常系(例外処理)」を分けて考えます。
正常系とは、申請内容に不備がなく、同意者や承認者が順次承認ボタンを押して完了するまでの真っ直ぐな流れのことです。選択肢の「イ(申請後、同意者が閲覧する)」や「ウ(同意後に承認者が処理する)」は、まさにこの正常な手順の一部です。
これに対して「差戻し」は、承認者や同意者が内容を確認した際に「情報が足りない」「計画の根拠が不十分」と判断した場合に行われるアクションです。差戻しが行われると、フローは現在の工程から前の工程(多くは申請者)へと戻ります。これにより、申請者は内容を修正して再度申請を行うという「ループ」が発生します。このように、正常な流れを中断・変更させる例外処理の設計は、ワークフローシステム開発において最も重要な要素の一つです。
業務プロセスを理解する意義
この問題は、システムがどのように業務を管理しているかという視点を問うています。ITパスポートでワークフローについて問われる背景には、単にシステムの使い方を知るだけでなく、「なぜそのような機能が必要なのか」という業務効率化の視点を持たせる教育的意図があります。
実務においては、単に「進む」だけのシステムでは運用が回りません。人間が行う仕事には必ず修正や再考が必要になるため、システム側で「差し戻し」や「却下(廃案)」、「担当者変更」といった柔軟な分岐を用意しておく必要があります。このような例外処理を正しく理解し設計に盛り込むことは、現場のニーズを満たす業務システムを構築する上での基本スキルとなります。