平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問96 解説 稟議システムの履歴管理
稟議システムによって履歴として保存された内容から, 確認できないものはどれか。
- ア 申請, 同意, 差戻し, 承認が実施された日時
- イ 申請から承認までに掛かった時間
- ウ 申請前の修正回数 ✓ 正答
- エ 差戻しが行われた回数
解説
申請後のアクションに着目する
この問題のポイントは、システムが何を「履歴」として記録しているかを区別することです。稟議システムにおける履歴とは、申請者が「申請」ボタンを押した以降の、承認者や関係者による「アクション(同意、承認、差戻しなど)」と、その実行日時を指します。
一方、申請前の「修正」は、申請者が自分のパソコン上でワープロソフトを使ったり、システム上の下書き画面で文章を書き直したりする段階の作業です。これらはシステム上の正式なワークフロー(工程)に含まれないため、ログ(記録)として残らないのが一般的です。
ワークフロー管理における履歴の性質
稟議システムのようなワークフロー管理システムでは、プロセスが「いつ、誰によって、どのような結果になったか」という客観的な事実が重要視されます。
- ア: 履歴として記録されるアクションの実行日時は、監査や追跡調査の基本情報です。
- イ: 申請日時と最終承認日時の差分を計算することで、滞留時間を算出できるため、記録から確認可能です。
- エ: 差戻しはシステム上のプロセスにおける重要イベントであるため、回数は当然記録として蓄積されます。
これに対し、申請者が提出するまでの「試行錯誤」は、個人の思考プロセスに属するものであり、組織としてのプロセス管理の対象外となるため、システムには記録されません。
システム開発とガバナンスにおける意義
この問題は、ITパスポートの試験範囲において、業務プロセスをシステム化する際に「何が記録され、何が記録されないのか」を理解しているかを問うものです。
実際にシステムを構築する際には、どのようなログを残すべきか(ログ設計)が重要になります。もし、全ての修正履歴を残そうとすれば、保存容量が膨大になるだけでなく、ユーザーの心理的負担も増えます。そのため、必要な情報(誰が、いつ、何を認めたか)を絞り込んで記録することが、システム設計における重要なスキルとなります。
また、ビジネスの現場では、承認までの期間(イ)や差戻し回数(エ)を分析することで、「どこで業務が停滞しているか」「どの工程に不備が多いか」といったボトルネックを特定し、業務効率を改善する指標として活用します。システムをただ使うだけでなく、データの蓄積によって組織運営を最適化するという視点を持つことが、この分野の学習における肝となります。