平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問97 解説 アローダイアグラムの最短時間
図1の移行作業のアローダイアグラムに基づいて作業を実施すると,移行作業は最短では何時間で終了するか。
- ア 9.5
- イ 11.0
- ウ 12.0
- エ 14.0 ✓ 正答
解説
最短終了時間を求めるアローダイアグラムの解き方
アローダイアグラムで全体の最短終了時間を求めるには、開始点から終了点まで、複数のルートの中で「最も時間がかかる経路(クリティカルパス)」を特定する必要があります。
- 各ノード(作業の開始・終了点)に、そこまで到達するまでの累積時間を書き込みます。
- 合流地点では、合流するすべての経路の合計時間を計算し、その中で最も大きい値(最大値)を採用します。
- 最終地点に到達したときの最大値が、全体の最短終了時間となります。
この問題の場合、複数の作業が並行して進むため、すべての作業が終わらないと次の作業に進めない箇所で時間を足し合わせ、最も時間がかかる経路を探し出すのがポイントです。
クリティカルパスとスケジュールの重要性
この問題で重要な概念が「クリティカルパス」です。クリティカルパスとは、プロジェクト全体の中で「一番時間がかかる一連の作業工程」のことです。
アローダイアグラム上では、いくつかの作業を並行して進められますが、プロジェクト全体の完了時間は「最も時間がかかるルート」によって決まります。もしクリティカルパス上の作業が1時間遅れれば、プロジェクト全体の完了も必ず1時間遅れます。逆に、クリティカルパス以外の作業に多少の遅れが出ても、全体の終了時間には影響しないこともあります。
ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、システム開発プロジェクトのマネジメント能力を測るためです。システム移行作業やプログラム開発では、多くのタスクが複雑に関係し合っています。マネージャーは、クリティカルパスを正確に把握することで、どの作業を優先的に管理すべきか、どこにリソースを集中させるべきかを判断する必要があります。
プロジェクト管理における活用
実務において、アローダイアグラムは「PERT(Program Evaluation and Review Technique)」などの手法の一部として広く活用されています。
例えば、新しいWebサイトを構築する場合、「サーバー構築」「デザイン作成」「プログラム開発」を同時並行で進める場面があります。このとき、最も時間がかかる工程が何であるかを可視化しておけば、トラブルが発生した際に「全体納期に影響があるのか、ないのか」を瞬時に判断できます。
また、予算や要員に限りがある場合、クリティカルパス上の作業を効率化(短縮)することが、納期を早めるための唯一の手段となります。逆に言えば、クリティカルパスではない作業をいくら急いでも、プロジェクト全体の納期は短縮されません。この「どこに集中すべきか」という視点は、開発の現場だけでなく、日常的な業務効率化や試験勉強のスケジュール管理にも応用できる論理的な考え方です。