平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問14 解説 ブルーオーシャン戦略
ブルーオーシャン戦略の説明として,適切なものはどれか。
- ア 新しい価値を提供することによって,競争のない新たな市場を生み出す。 ✓ 正答
- イ 売れ筋商品以外の商品も幅広く取り扱うことによって,販売機会の増大を図る。
- ウ 業界のトップ企業が提供する製品との差別化を徹底的に進める。
- エ コスト削減によって競合他社に対する優位性を築く。
解説
解法:用語のイメージから正解を絞り込む
この問題を解く鍵は、ブルーオーシャンという言葉が持つ「穏やかで青い海」というイメージと、その対義語であるレッドオーシャン(血で血を洗う赤い海)を対比させることです。
既存の競争が激しい市場を避けて、誰もいない新しい市場を切り拓くという文脈を探します。選択肢の中で「競争のない新たな市場」と明記されている「ア」が正解です。
ブルーオーシャン戦略の本質
ブルーオーシャン戦略とは、フランスのビジネススクールINSEAD(インシアード)の教授らによって提唱された経営戦略論です。
市場を「レッドオーシャン」と「ブルーオーシャン」の2つに分けて考えます。レッドオーシャンは、すでに多くのライバルが存在し、限られた顧客を奪い合うために価格競争や機能競争が激化している市場を指します。ここでは、利益を削って戦わなければならず、成長の余地も限られています。
対してブルーオーシャンは、まだ誰も手をつけていない未開拓の市場です。単に新しい製品を作るだけでなく、顧客にとっての「新しい価値」を創造することで、競合相手が存在しない状態を作り出します。これにより、高成長と高収益を同時に狙うのがこの戦略の狙いです。
価値の組み合わせによる新市場の創造
ブルーオーシャンを創り出すための具体的な手法に「バリューイノベーション」があります。これは、従来は二者択一だと思われていた「差別化」と「低コスト」の両立を目指す考え方です。
不要な機能を思い切って「取り除く」「減らす」ことでコストを下げつつ、顧客が本当に求めている要素を「増やす」「付け加える」ことで、全く新しい価値を生み出します。
例えば、10分1,000円カットの理容店は、従来の理髪店にあった「予約」「洗髪」「マッサージ」といったサービスをあえて排除し、顧客が潜在的に求めていた「短時間で安く髪を切りたい」という価値に特化することで、忙しいビジネスパーソンという新しい市場(ブルーオーシャン)を創出しました。
誤選択肢の解説
他の選択肢は、ブルーオーシャン戦略とは異なる経営戦略やビジネスモデルを指しています。
イ:ロングテール
売れ筋商品だけでなく、あまり売れないニッチな商品を幅広く取り揃えることで、その合計売上を大きくする戦略は「ロングテール」と呼ばれます。インターネット通販のように、在庫や陳列のコストが低いビジネスでよく活用される手法です。
ウ:差別化戦略
業界のトップ企業(リーダー企業)と異なる特徴を打ち出すのは、マイケル・ポーターが提唱した「差別化戦略」の一つです。これは既存の市場(レッドオーシャン)内での戦い方に関する記述です。
エ:コストリーダーシップ戦略
コストを徹底的に削減して価格優位性を築くのは、同じくマイケル・ポーターの「コストリーダーシップ戦略」です。これも既存の市場において、競合他社に対して優位に立つための戦略です。
この知識が求められる背景
ITパスポート試験でこの用語が出題されるのは、現代のITビジネスにおいて「技術そのもの」だけでなく「ビジネスモデルの構築」が極めて重要だからです。
どんなに優れたプログラムやシステムを開発しても、すでに競合がひしめくレッドオーシャンであれば、すぐに価格競争に巻き込まれてしまいます。ITの力を活用して、これまでになかった新しいサービスや仕組みをデザインし、競争のない市場を自ら創り出す思考を持つことが、現代のIT人材には期待されています。