平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問18 解説 オピニオンリーダ
マーケティングにおけるセグメンテーションとして, 消費者を, 商品購入に対す る態度で分類することがある。オピニオンリーダと呼ばれる消費者の商品購入に対 する態度として, 適切なものはどれか。
- ア 商品が普及した後に, その商品に関する自分の評価を友人や知人に伝える。
- イ 商品の購入を決めるに当たって, 友人の評価や世間の評判を参考にする。
- ウ 新商品の販売開始を待って, 友人や知人に先駆けて入手することに意欲を燃や す。
- エ 新商品を販売初期の段階で購入し, その商品に関する情報を友人や知人に伝え る。 ✓ 正答
解説
オピニオンリーダを特定する際のポイントは、情報の「早さ」と「影響力」の2点に着目することです。新しい商品が発売された直後の初期段階(早さ)で購入し、その使用感や価値を周囲に伝えて流行のきっかけを作る(影響力)という特徴を持つ選択肢を探します。
イノベーター理論と5つの消費者層
この問題の背景には、エベレット・ロジャーズが提唱したイノベーター理論(普及学)があります。新しい商品やサービスが市場に浸透していく過程で、消費者はその購入時期によって以下の5つのグループに分類されます。
イノベーター(革新者) 市場の2.5%を占める層です。新し物好きで、技術や新奇性そのものに価値を感じます。商品の実用性や周囲の評判よりも、誰よりも早く手に入れることを重視します。選択肢ウがこれに該当します。
アーリーアダプター(初期採用層) 市場の13.5%を占める層で、ここに含まれる人々がオピニオンリーダと呼ばれます。流行に敏感で、商品の価値を自ら判断し、良いと思ったものを周囲に広める役割を担います。選択肢エがこれに該当します。
アーリーマジョリティ(前期追随層) 市場の34%を占める層です。新しいものには関心がありますが、慎重です。オピニオンリーダの動向や周囲の評判を見てから購入を決めます。選択肢イがこれに該当します。
レイトマジョリティ(後期追随層) 市場の34%を占める層です。新しいものに対して懐疑的で、周囲の大多数が使い始めてから自分も購入します。普及が進んだ後に自分の評価を伝える選択肢アは、この層に近い挙動です。
ラガード(遅滞層) 市場の16%を占める層です。伝統を重視する保守的な層で、その商品が世の中の定番となり、手に入れないと不便になるような段階になって初めて購入を検討します。
マーケティングにおける重要性
企業が新商品をヒットさせるためには、このオピニオンリーダを味方につけることが極めて重要です。なぜなら、イノベーターとアーリーアダプターを合わせた16%の層に浸透した直後に、キャズムと呼ばれる大きな溝が存在するからです。
キャズムを超えてアーリーマジョリティ(一般大衆)に商品を普及させるためには、オピニオンリーダによる口コミや推奨が不可欠です。現代においては、SNSで大きな影響力を持つインフルエンサーがこのオピニオンリーダの役割を担うことが多く、インフルエンサーマーケティングという手法もこの理論に基づいています。
ITパスポート試験では、技術的な知識だけでなく、このように技術をどう社会に広め、ビジネスとして成立させるかというストラテジ(戦略)の視点も問われます。オピニオンリーダは、単なる「早く買う人」ではなく「流行の橋渡し役」であると理解しておくのが合格への近道です。