平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問19 解説 コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスを強化するための施策として, 最も適切なものはどれか。
- ア 業務の執行を行う執行役が, 取締役の職務の適否を監査する。
- イ 社外取締役の過半数に, 親会社や取引先の関係者を登用する。
- ウ 独立性の高い社外取締役を登用する。 ✓ 正答
- エ 取締役会が経営の監督と業務執行を一元的に行って内部統制を図る。
解説
経営を監視する監督機能と、事業を動かす執行機能を切り分け、外部の客観的な視点を取り入れているものを選びます。不祥事を防ぎ、透明性の高い経営を行うには、身内だけで判断しない仕組みが重要です。
コーポレートガバナンスの本質
コーポレートガバナンス(企業統治)とは、企業が株主をはじめ、顧客、従業員、地域社会などの利害関係者(ステークホルダー)の利益を損なうことなく、公正かつ透明な意思決定を行うための仕組みです。
株式会社においては、所有者である株主が経営を経営者に委託しますが、経営者が自身の利益を優先したり、不正に手を染めたりするリスクが常に存在します。これを防ぐために、経営陣の暴走をチェックする監視体制を整えることがコーポレートガバナンスの根幹となります。
なぜ独立性の高い社外取締役が必要か
取締役会は本来、経営の基本方針を決定し、業務執行を監督する役割を担います。しかし、社内の人間だけで構成されると、上下関係やしがらみによって、社長やトップの判断に対して異を唱えることが難しくなります。
そこで、会社と直接の利害関係がない独立性の高い社外取締役を登用します。彼らは外部の専門家や経験者としての視点から、経営が社会通念に照らして正しいか、株主の利益に反していないかを厳しくチェックします。
選択肢イのように、親会社や取引先の関係者を登用した場合は、その出身元の利益を優先してしまう可能性があるため、真に独立した客観的な監督は期待できません。したがって、独立性が高いことが、ガバナンス強化の鍵となります。
他の選択肢の誤り
ア:通常、監査の役割を担うのは監査役や取締役(監査等委員)であり、業務を遂行する側の執行役が取締役を監査するのは役割が逆転しています。 イ:親会社や取引先の関係者は、その利害関係から経営判断を歪めるリスクがあるため、独立性が高いとは言えず、ガバナンスの強化としては不十分です。 エ:監督と執行を一元化(統合)してしまうと、自分の仕事を自分でチェックすることになり、不祥事の隠蔽や独断専行を許す環境を作ってしまいます。ガバナンスの観点では、監督と執行の分離が推奨されます。
ITとガバナンスの関係
現代の企業経営において、ITは事業の根幹を支えるインフラです。コーポレートガバナンスが機能していない企業では、IT投資の判断が不透明になったり、セキュリティリスクへの対策がおろそかになったりします。
この問題の背景にある知識は、ITガバナンスという概念にもつながります。企業の経営戦略に沿ってITを適切に活用し、リスクを管理する仕組みもまた、コーポレートガバナンスの一部として非常に重要視されています。試験では、組織の健全性を保つためのルール作りや体制図をイメージしながら解くのがコツです。