平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問41 解説 SLAの合意相手
ITサービスマネジメントにおいて,サービス提供者がSLAの内容を合意する相手は誰か。
- ア ITサービスを利用する組織の責任者 ✓ 正答
- イ サービスデスクの責任者
- ウ システム開発の発注先
- エ 不特定多数を対象として外部に公開しているWebサイトの利用者
解説
正解へのアプローチ
この問題は、ITサービスマネジメントにおけるSLA(Service Level Agreement)の定義を理解していれば即答できます。SLAは「サービス提供者」と「サービス利用者」との間で結ばれる「品質の約束」です。そのため、契約の当事者として意思決定権を持つ「利用する組織の責任者」と合意する必要があります。不特定多数や内部の担当者レベルではなく、組織として責任を負える立場の人と取り決めるのがポイントです。
SLAとは何か
SLA(サービスレベル合意書)とは、ITサービスの提供者と利用者の間で、提供されるサービスの範囲や品質、責任分担について明文化した合意のことです。
例えば、「サーバーの稼働率は99.9%以上とする」「問い合わせには24時間以内に回答する」「障害発生時の復旧目標時間は4時間以内とする」といった具体的な指標が盛り込まれます。この合意があることで、利用者は安心してサービスを使え、提供者はどの程度のサービスレベルを維持すべきかという明確な目標を持つことができます。
なぜ責任者と合意するのか
ITサービスは組織の業務を支える基盤であるため、その品質が低下すれば組織全体の生産性に直結します。そのため、SLAの締結は単なる現場レベルの打ち合わせではなく、組織間の正式な契約という性格を帯びます。
もし担当者レベルだけで合意してしまうと、後から予算やリソースが足りないといった問題が発生した際に、責任の所在が曖昧になってしまいます。組織の責任者が関与することで、合意したサービス品質を維持するためのコストや体制について、経営的な観点から担保を得ることが可能になるのです。
実務における活用の視点
ITパスポート試験においてこの問題が問われる教育的意図は、ITサービスを単なる技術的な道具としてではなく、ビジネスにおける「契約上の対価と責任の関係」として捉えさせる点にあります。
システムエンジニアや運用担当者として働く際、SLAは「自分たちが守るべき境界線」を明確にしてくれます。逆に言えば、SLAで合意していない範囲外のトラブル対応を一方的に押し付けられることを防ぐ、守りのツールとしても機能します。ITサービスマネジメントを学ぶことは、円滑なビジネス運営のために、利用者と提供者が対等に権利と義務を理解し合うための第一歩となります。