平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問96 解説 クリティカルパスと納期短縮
図1のEの時点で,この組立て作業の納期を短縮する必要が発生し,他の作業を担当していたQさんが2日間,このプロジェクトの工程を手伝ってくれることになった。プロジェクトを早期に終了させるためには,どの工程をどれだけ手伝ってもらうのがよいか。
- ア 工程7を2日間
- イ 工程10を2日間 ✓ 正答
- ウ 工程7と工程8をそれぞれ1日ずつ
- エ 工程7と工程9をそれぞれ1日ずつ
解説
この問題は、アローダイアグラムにおける「クリティカルパス」を見つけることで解決できます。プロジェクト全体の期間を短縮するためには、最も時間がかかる経路であるクリティカルパス上の工程を短縮する必要があります。
クリティカルパスを見つける
図1の結合点Eから最終のHまで、どのような経路があるかを確認しましょう。
- E → 工程7 → F → 工程8 → H : 4日 + 2日 = 6日
- E → 工程9 → H : 6日
- E → 工程10 → G → 工程11 → H : 4日 + 4日 = 8日
この中で、EからHまでの日数が最も長いのは「3」の経路(合計8日)です。この、全体の期間を決定している最長の経路をクリティカルパスと呼びます。
他の経路(工程7, 8, 9など)は、クリティカルパスよりも日数が短いため、多少遅れても全体の納期には影響しません。逆にいえば、これらを短縮しても全体の完了日は変わりません。したがって、全体の納期を短縮するには、ボトルネックとなっている「工程10」や「工程11」といったクリティカルパス上の工程を短縮する必要があります。
アローダイアグラムとスケジュール管理
アローダイアグラムは、作業の順序や依存関係を矢印で表した図です。プロジェクトマネジメントにおいて非常に重要なツールであり、以下のような場面で活用されます。
- 全体工程の把握:どの作業が並行して進められ、どの作業が先行・後続の関係にあるかが一目でわかります。
- 納期予測:先ほどのように計算することで、プロジェクトが最短でいつ終わるかを算出できます。
- リソース配分:今回の問題のように、限られた応援人員をどこに投入すれば最大の効果が得られるかを判断する根拠になります。
試験では「クリティカルパスはどこか?」「納期を短縮するにはどの工程を短縮すべきか?」という問いが頻出です。まずはすべての経路の日数を計算し、一番大きい値を持つ経路を特定する練習をしておきましょう。
実務での役割
実務の現場では、すべての作業を同じ密度で管理するのではなく、このクリティカルパス上に乗っている重要なタスクを重点的に監視し、遅延が発生しそうになったら早期にリソース(人員や予算)を投入するという判断が行われます。プロジェクト管理の教育的意図としては、全体最適の視点を持って「どこが最も納期に影響を与えているのか」を見極めるセンスを養うことが目的となっています。