平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問91 解説 リスク回避策の費用
〔マネジメント〕 問91 Aさんは〔Zプロジェクトの状況〕の(5)が,開発スケジュールの遅延の原因になると考え,回避策を実施しないときの遅延の予測日数,及び回避策の費用を次の表にまとめた。それぞれの遅延が発生する可能性があるとした場合,回避策を実施して,図1のソフトウェア開発の最短日数で予定どおりに完了させるために必要な最低限の費用は何万円か。
- ア 30
- イ 35 ✓ 正答
- ウ 45
- エ 60
解説
この問題は、プロジェクト管理における「クリティカルパス」の概念を理解しているかを問うものです。以下の手順で解くことができます。
解き方の手順
- アローダイアグラムから、現在のプロジェクト全体の最短完了日数(クリティカルパス)を特定します。
- どの作業が遅延しても全体の納期に影響するかを判断します。
- すべての作業の遅延を解消するために必要な最小コストを計算します。
まず、図1の各ルートの所要日数を計算します。
- 準備作業(5日)→ 作業1(20日)→ 作業4(10日)= 合計35日
- 準備作業(5日)→ 作業2(15日)→ 作業3(15日)→ 作業4(10日)= 合計45日
この中で日数が最も長い45日のルートがクリティカルパスとなります。しかし、問題文にはすべての作業で遅延が発生する可能性があるとあります。この場合、クリティカルパス以外の作業であっても、遅延によって全体の期間が延びる可能性があるため、すべての遅延リスクを排除する必要があります。
表に基づき、各作業の遅延を回避するための費用を合計します。
- 作業1: 25万円
- 作業2: 15万円
- 作業3: 15万円
- 作業4: 5万円
これらすべてを回避する必要があるのかを検討します。最短日数で完了させるためには、遅延が予測されるすべての作業に対して回避策を実施し、当初の予定通りに進める必要があります。問題文で「それぞれの遅延が発生する可能性があるとした場合」とあるため、すべての作業が遅延の要因となり得ます。
ここで、最短完了日数を維持するためには、余裕(バッファ)がある作業を除き、全体の期間を圧迫する作業の遅延を消す必要があります。クリティカルパス上の作業(作業2、作業3、作業4)は確実に回避が必要です。作業1については、クリティカルパスである「準備作業→作業2→作業3→作業4」の合計45日に対して、準備作業→作業1→作業4は35日です。作業1が5日遅延しても40日となり、全体の期間(45日)には影響しません。
したがって、クリティカルパスである作業2(15万円)、作業3(15万円)、作業4(5万円)の回避策費用を合計します。 15 + 15 + 5 = 35万円
正解はイの35万円となります。
クリティカルパスとプロジェクト管理
クリティカルパスとは、プロジェクト開始から終了までの経路の中で、最も日数がかかる経路のことです。この経路上の作業が1日でも遅れると、プロジェクト全体の完了日も1日遅れることになります。そのため、プロジェクトマネージャーは、この経路上にある作業を重点的に管理・監視しなければなりません。
実務における活用
この知識は、ITシステムの開発現場における「スケジュール調整」で日常的に使われます。限られた予算とリソースの中でプロジェクトを予定通りに完了させるため、マネージャーは「どの作業にコストを投入すれば、全体への影響を最小限に抑えられるか」という判断を常に迫られます。この問題のように、各作業の遅延予測と回避費用を天秤にかけることは、リスクマネジメントの基礎となる思考回路です。