平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問93 解説 表計算の絶対参照
売上高に応じた総費用を求めるために, 図1のセルB5に計算式を入力して, セルB6 ~B15に複写する。セルB5に入力する計算式として, 適切なものはどれか。
- ア A5*B1+B2
- イ A5*B1
- ウ A5*B$1+B$2 ✓ 正答
- エ A5*B$1
解説
この問題は、総費用を求める数式の組み立てと、表計算ソフトの絶対参照という2つのポイントを理解しているかを問うものです。
正解となる数式を導き出す手順は以下の通りです。
- 総費用を求める計算式を考える:問題文より「総費用 = 売上高 × 変動費率 + 固定費」です。セルB5における売上高は「A5」、変動費率は「B1」、固定費は「B2」にあるため、式は となります。
- セルを複写した際に参照先が変わってはいけない箇所を特定する:この数式をB6からB15へコピーした際、売上高を示す「A5」は「A6」「A7」と順次変化する必要がありますが、変動費率の「B1」と固定費の「B2」は常に同じ場所(表の上部)を参照し続けなければなりません。
- 絶対参照を適用する:コピーしても行番号が変わらないようにするには、行番号の前に「1」、「B2」は「BA5*B2$ となります。
絶対参照と相対参照の使い分け
表計算ソフトには、数式を別のセルにコピーした際に、参照先のセルを自動的に調整する「相対参照」と、特定のセルを固定する「絶対参照」があります。
- 相対参照: のように記号を付けない場合、コピー先の位置関係に合わせて参照先が自動的にずれます。今回の「A5」は、コピー先の行に合わせて「A6」「A7」と変化してほしいので、相対参照のままで適切です。
- 絶対参照:1 のように行番号の前に「$」を付けることで、コピーしても行番号が固定されます。変動費率や固定費のように、表全体で共通の定数として扱いたい値には、必ず絶対参照を用いる必要があります。
ビジネス現場での活用
この問題で学んだ知識は、単なる試験対策を超えて、実務の現場で頻繁に活用されます。
例えば、営業予算の作成や販売価格のシミュレーションにおいて、複数の商品価格に対して一律の消費税率を掛けたり、共通の経費率を計算したりする場面では、この絶対参照の考え方が不可欠です。もし絶対参照を忘れて数式をコピーしてしまうと、意図しないセルを参照してしまい、誤った金額を算出して大きなミスにつながる恐れがあります。
この問題の教育的意図は、単に数式の書き方を問うことだけでなく、計算結果の再現性を意識したワークシートの設計能力を養うことにあります。データの構造を理解し、可変部分と固定部分を切り分けて正確に数式を組むスキルは、デジタル社会で働くための基礎体力と言えるでしょう。