平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問4 解説 業務要件とシステム要件
定義すべき要件を業務要件とシステム要件に分けたとき,業務要件に当たるものはどれか。
- ア オンラインシステムの稼働率は99%以上とする。
- イ 情報漏えいを防ぐために,ネットワークを介して授受するデータを暗号化する。
- ウ 操作性向上のために,画面表示にはWebブラウザを使用する。
- エ 物流コストを削減するために出庫作業の自動化率を高める。 ✓ 正答
解説
この問題は、「ビジネスの目的」と「それを達成するための手段」を区別できるかがポイントです。
業務要件は「誰が、どのような業務を、何のために行うのか」というビジネス上の要求です。一方、システム要件は、その業務をサポートするために「どのような機能を備え、どのような性能を満たすべきか」という技術的な仕様を指します。
選択肢のうち、「物流コストを削減する」「自動化率を高める」という内容は、システムを作ることで最終的にビジネスとして何を実現したいかという目的(What)を述べているため、業務要件に該当します。
業務要件とシステム要件の考え方
要件定義のプロセスでは、まず「あるべき姿(業務要件)」を固め、次にそれを「ITでどう実現するか(システム要件)」へ落とし込みます。
・業務要件:ビジネス上の課題解決や業務効率化の目標。 ・システム要件:その目標を達成するために必要な機能、性能、セキュリティ、操作性などの技術的ルール。
他の選択肢を分析すると、以下のようになります。
ア(稼働率99%以上):システムとしてどの程度の安定性が必要かという、性能に関するシステム要件です。 イ(データの暗号化):どのような技術を用いてセキュリティを担保するかという、機能・仕様に関するシステム要件です。 ウ(Webブラウザの使用):どのような技術基盤(プラットフォーム)を採用するかという、技術選定に関するシステム要件です。
なぜこの区別が必要なのか
現場のシステム開発において、この区別は非常に重要です。もし「業務要件」が曖昧なまま「システム要件」の作成を進めてしまうと、完成したシステムが「技術的には動いているが、業務の現場では使いにくく、コスト削減にもつながらない」という事態に陥ります。
ITパスポート試験でこの知識を問う背景には、情報システム部門と業務部門が共通言語で話せるようになる必要があるという意図があります。開発を依頼する側(業務部門)は「何を実現したいか(業務要件)」を明確にし、開発側(IT部門)は「どう実現するか(システム要件)」を提案することで、プロジェクトの成功確率が高まります。
実務においては、まず「業務要件」を達成するための手段として、複数の「システム要件」の選択肢を検討する、といった手順を踏むのが一般的です。