平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問21 解説 特許権の定義
問21 特許権に関して, 次の記述中のa, bに入れる字句の適切な組合せはどれか。 特許権とは a を独占的・排他的に利用できる権利であり, 我が国の法律で は b に与えられる権利である。
- ア ✓ 正答
- イ
- ウ
- エ
解説
「a」には特許権の保護対象となる「発明」が、「b」には日本の特許制度の原則である「先願主義」が当てはまります。この知識をもとに選択肢を絞り込むと、正解はアとなります。
特許権が守るもの:「産業上利用することができる新規の発明」
特許権は、私たちの社会や産業を発展させる新しい「発明」を保護するための権利です。日本の特許法において「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」と定義されています。つまり、単なる発見やアイデアではなく、具体的な技術的な解決策で、かつ産業、例えば工業や農業、情報通信分野などで利用できるものでなければなりません。
例えば、これまでになかった画期的な製造方法、新しい物質の生成技術、効率的なデータ処理アルゴリズム(具体的な装置やシステムとして実現される場合)などがこれに該当します。また、「新規の発明」であることも重要な条件です。すでに世の中に知られている技術やアイデアは、特許権の対象にはなりません。
選択肢ウやエにある「新規の工業製品などで、その形状、模様、色彩について美感を起こさせる工夫」は、特許権ではなく「意匠権」の保護対象です。意匠権は製品のデザインを保護するものであり、技術的なアイデアを保護する特許権とは明確に異なります。
特許権は誰に与えられるのか:日本は「先願主義」
我が国の特許法では、特許権は原則として「最初の出願者」に与えられます。これを「先願主義」と呼びます。
この制度は、たとえ先にその発明を完成させた「最初の発明者」がいたとしても、特許庁に最も早く特許出願を申請した人に権利が与えられることを意味します。先願主義は、発明者に速やかな出願を促し、特許権が誰に属するかを明確にすることで、不必要な争いを避け、安定した権利関係を築くことを目的としています。また、出願によって発明の内容が公開されることで、他の研究者や企業がその情報を参考にし、さらなる技術発展を促す効果も期待されます。
もし「最初に発明した人」に権利を与える「先発明主義」を採用すると、誰が本当に最初に発明したのかを証明することが非常に困難になり、権利の確定に時間がかかったり、頻繁に争いが起きたりする可能性が高まります。このような理由から、日本を含む多くの国が先願主義を採用しています。
ITパスポート試験における知的財産権の重要性
ITパスポート試験で知的財産権に関する知識が問われるのは、IT技術が現代社会やビジネスにおいて不可欠な存在であり、新しいITサービスや製品、ソフトウェアなどが常に生み出されているからです。これらの技術や製品には、開発者の努力や独創的なアイデアが詰まっており、それを保護することは技術革新を促進する上で非常に重要です。
例えば、新しいソフトウェアの機能やインターフェース、データ処理の仕組みなどは特許の対象となり得ますし、アプリケーションのデザインやアイコンは意匠権や著作権で保護される可能性があります。ITエンジニアやITを活用するビジネスパーソンとして、自社の開発した技術を適切に保護し、また他社の知的財産権を侵害しないようにすることは、ビジネスを円滑に進める上で不可欠な知識と言えるでしょう。