ITパスポート試験 / 平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 / 問44
certification-simodake-work

平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問44 解説 業務記述書

内部統制の整備で文書化される,業務規定やマニュアルのような個々の業務内容 についての手順や詳細を文章で示したものはどれか。

  1. ア 業務記述書 ✓ 正答
  2. イ 業務の流れ図
  3. ウ スプレッドシート
  4. エ 要件定義書

解説

この問題は、内部統制における文書化の種類を問うています。「個々の業務内容についての手順や詳細を文章で示したもの」というキーワードに注目しましょう。選択肢の中で、業務の手順や詳細を「記述」する書類を指すのは「業務記述書」であり、これが正解となります。

内部統制と業務文書化の重要性

内部統制とは、企業が事業活動を適切かつ効率的に遂行し、不正や誤りを防止するための仕組み全般を指します。その中でも、業務を適切に運営し、リスクを管理するためには、誰が、いつ、何を、どのように行うかを明確にしておくことが不可欠です。この「明確にする」ための手段が「文書化」であり、様々な種類の業務文書が作成されます。

業務文書化の主な目的は以下の通りです。

  • 業務の標準化と品質維持: 担当者が変わっても、同じ品質で業務が行われるように手順を統一します。
  • 業務の透明化と効率化: 業務の流れや責任範囲を明確にし、不明瞭な部分や非効率な点を見つけやすくします。
  • リスクの低減と不正防止: 業務プロセスにおける潜在的なリスクを特定し、適切なチェックや承認などの統制策を組み込むことで、不正や誤りの発生を防ぎます。
  • 教育・引継ぎの円滑化: 新任者への教育や担当者の引継ぎをスムーズに行うための資料として活用されます。
  • 監査対応: 内部監査や外部監査の際に、業務が適切に行われていることを示す証拠となります。

これらの目的を達成するために、業務の性質や目的によって異なる文書が作成されます。

選択肢の解説

ア 業務記述書(正解)

業務記述書は、個々の業務の手順や詳細を、文字通り文章で記述した書類です。問題文にある「業務規定やマニュアルのような個々の業務内容についての手順や詳細を文章で示したもの」という説明に最も合致します。

業務記述書には、以下のような内容が具体的に記述されます。

  • 業務の目的: その業務が何のために行われるのか。
  • 担当者・責任者: 誰がその業務を行うのか、誰が責任を持つのか。
  • 具体的な手順: 業務をどのような順番で進めるのか、具体的な操作方法や判断基準、使用するシステムやツールなど。
  • 入力情報・出力情報: 業務を行うために必要な情報や、業務の結果として作成される情報・成果物。
  • 承認プロセス: 誰が、どのような基準で承認を行うのか。
  • 統制活動: リスクを低減するためのチェックや承認などの統制活動。

業務記述書は、業務の標準化、教育、リスク管理、そして内部統制の評価における重要な基礎資料となります。

イ 業務の流れ図(業務フロー図)

業務の流れ図(または業務フロー図)は、業務プロセス全体の流れを、記号と線を用いて視覚的に表現した図です。

  • 目的: 業務全体の流れや部門間の連携、ボトルネックの有無を直感的に把握するために使用されます。
  • 特徴: 業務記述書が「詳細な手順」を文章で示すのに対し、業務の流れ図は「全体像と各工程の関係性」を視覚的に示す点が大きく異なります。内部統制の評価では、業務記述書と業務の流れ図の両方を活用して、業務プロセスと統制活動の理解を深めるのが一般的です。

ウ スプレッドシート

スプレッドシートは、Excelなどに代表される表計算ソフトウェアの総称です。データの一覧管理、集計、分析、グラフ作成などに用いられます。

  • 内部統制との関連: 内部統制の文書化においては、リスクコントロールマトリクス(RCM)を作成する際などにスプレッドシートが利用されることがあります。RCMは、業務におけるリスクとそれに対応する統制活動を一覧表にしたものですが、個々の業務の手順や詳細を記述する専用の文書ではありません。

エ 要件定義書

要件定義書は、主にシステム開発の初期段階で作成される文書です。開発しようとしているシステムが、どのような機能や性能を持つべきか、またどのような制約があるか(例:顧客管理機能、データ連携要件、セキュリティ要件など)を明確に記述します。

  • 目的: 開発するシステムの目標を共有し、ユーザーと開発者の認識のずれを防ぎます。
  • 特徴: 業務記述書が「既存の、あるいは理想的な業務の手順」を記述するのに対し、要件定義書は「新たに開発するシステムが満たすべき条件」を記述する点が異なります。

問題の教育的意図

この問題は、ITパスポート試験の学習範囲である「企業活動と法務」や「システム戦略」において、内部統制の基本的な概念と、その中で使われる主要な文書の種類と役割を正しく理解しているかを確認することを目的としています。

特に、「文章で詳細に記述したもの」である業務記述書と、「視覚的に流れを示したもの」である業務の流れ図は、混同しやすいため、明確に区別して覚えておくことが重要です。これらの文書は、ITエンジニアとして、あるいはビジネスパーソンとして業務改善やシステム導入に関わる際に、必ず目にする基本的なツールです。それぞれの文書が持つ役割と目的を理解しておくことで、円滑なコミュニケーションと効率的な業務遂行が可能になります。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう