平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問66 解説 バイオメトリクス認証
個人の身体的,行動的特徴を用いた認証であり,認証のために個人が情報を記憶 したり,物を所持したりする必要はないが,認証用の特別な装置が必要なものはど れか。
- ア 公的個人認証
- イ 送信ドメイン認証
- ウ バイオメトリクス認証 ✓ 正答
- エ ライセンス認証
解説
問題を解くためのポイント
この問題は、認証方式の種類とその特徴を理解しているかを問うものです。問題文の「個人の身体的,行動的特徴を用いた認証」「個人が情報を記憶したり,物を所持したりする必要はない」「認証用の特別な装置が必要」という3つのキーワードから、最適な認証方式を選択します。
認証方式の種類と特徴
認証とは、アクセスしようとしている人が本人であることを確認するプロセスです。様々な認証方式がありますが、大きく以下の3つに分類できます。
- 知識認証: パスワードやPIN(暗証番号)のように、本人が「知っている」情報で認証する方式です。
- メリット: 特別な機器が不要な場合が多い。
- デメリット: 記憶が必要で、推測されたり漏洩したりするリスクがある。
- 所持認証: ICカードやスマートフォン、セキュリティトークンなど、本人が「持っている」物で認証する方式です。
- メリット: 知識認証より安全性が高い場合がある。
- デメリット: 紛失や盗難のリスクがある。
- 生体認証(バイオメトリクス認証): 指紋、顔、声、虹彩、静脈などの個人の身体的特徴や、筆跡、歩き方などの行動的特徴で認証する方式です。
- メリット: 記憶や所持が不要で、偽造やなりすましが困難。
- デメリット: 認証用の特別な装置(スキャナーなど)が必要。また、一度登録すると変更が困難。
問題文との照合
問題文の条件と照らし合わせてみましょう。
- 「個人の身体的,行動的特徴を用いた認証」: これは生体認証(バイオメトリクス認証)の特徴と一致します。
- 「認証のために個人が情報を記憶したり,物を所持したりする必要はない」: 知識認証(パスワードなど)や所持認証(カードなど)とは異なり、生体認証ではこれらの手間が不要です。
- 「認証用の特別な装置が必要」: 生体認証では、指紋スキャナーや顔認識カメラなどの専用機器が必要です。
これらの条件すべてを満たすのは、選択肢ウの「バイオメトリクス認証」です。
各選択肢の検討
- ア 公的個人認証: マイナンバーカードなどを利用した、行政手続き等で本人確認を行うための仕組みです。これにはカード(所持)やパスワード(知識)が関わってくるため、問題文の条件に直接合致しません。
- イ 送信ドメイン認証: 電子メールの送信元が詐称されていないかを確認する技術(例: SPF, DKIM, DMARC)です。これはシステム間の認証であり、個人の身体的・行動的特徴を用いるものではありません。
- ウ バイオメトリクス認証: 上記の通り、問題文のすべての条件に合致します。
- エ ライセンス認証: ソフトウェアなどの利用許諾を確認する仕組みです。これも個人の身体的・行動的特徴を用いるものではありません。
過去問から学ぶ、この知識の活用方法
この問題は、現代社会でますます重要になっている「認証」の多様な技術とその特性を理解するための基礎となります。ITパスポート試験では、単に用語を覚えるだけでなく、その技術がどのような場面で使われ、どのようなメリット・デメリットがあるのかを理解することが重要です。
例えば、スマートフォンに搭載されている指紋認証や顔認証は、まさにバイオメトリクス認証の代表例です。これらの技術のおかげで、私たちはパスワードを入力する手間なく、手軽かつ安全にスマートフォンをロック解除したり、アプリにログインしたりできています。
また、金融機関でのATM利用、空港の顔認証ゲート、企業の入退室管理システムなど、バイオメトリクス認証は私たちの身近な様々な場面で活用されています。
この問題を通じて、これらの認証方式の違いを理解し、それぞれの技術がどのように私たちの生活やビジネスを支えているのかを想像する力を養うことが、ITパスポート試験の合格だけでなく、ITリテラシーを高める上でも非常に役立ちます。