平成28年度 春期 ITパスポート試験 問15 解説 技術ポートフォリオ
技術開発戦略の策定に当たって,分析を行うために用いる技術ポートフォリオの説明として,適切なものはどれか。
- 技術水準や技術の成熟度を軸にしたマトリックスに,市場における自社の技術の位置づけを示したもの ✓ 正答
- 自社製品の開発開始から損益分岐点に達するまでの期間,投資の累計,利益の累計などを示したもの
- 自社で開発すべき技術の開発日程や到達目標,開発技術と新製品やビジネスプランとの関連などを示したもの
- 自社の保有する技術を要素技術に分解し,木構造の形式で体系的に示したもの
解説
技術ポートフォリオを見分けるポイント
技術ポートフォリオとは、自社の技術を「評価」して優先順位をつけるための分析手法です。キーワードは「マトリックス(表)」と「軸(評価基準)」です。選択肢の中で、技術を分析対象とし、2つの軸を用いたマトリックス図として説明しているものを選べば正解です。
技術ポートフォリオがなぜ必要なのか
企業は限られた予算と時間の中で、どの技術に注力すべきかを決めなければなりません。そこで役立つのが技術ポートフォリオです。
通常、縦軸に「技術水準(その技術をどれだけ高度に持っているか、あるいは他社に対してどれだけ優位か)」、横軸に「技術の成熟度(その技術が世の中でどれだけ一般化しているか)」などを設定します。これらを掛け合わせた四象限のマトリックスに、自社が保有する技術を配置します。
これにより、以下のような判断が可能になります。 ・まだ技術水準は低いが成長の余地がある分野へ投資を集中させる ・成熟しきった技術からは撤退を検討し、資源を新しい技術へシフトする
このツールは、単なる現状把握にとどまらず、技術開発という抽象的になりがちなテーマを可視化し、経営陣と現場で「どこに力を入れるべきか」という共通認識を作るために非常に強力な武器となります。
他の選択肢が指し示す手法
今回の選択肢は、いずれも技術経営(MOT)の分野で重要なキーワードです。これらも合わせて整理しておくと、試験での正答率がぐっと上がります。
・自社製品の開発開始から損益分岐点に達するまでの期間などを図示したもの これは「製品ライフサイクル」や「損益分岐点分析」に近い概念です。技術ではなく製品の収益性や開発期間の管理に関するものです。
・自社で開発すべき技術の開発日程や到達目標などを示したもの これは「技術ロードマップ」です。時間軸(横軸)に沿って、いつまでにどの技術を完成させるかという計画を可視化するものです。
・自社の保有する技術を要素技術に分解し、木構造で示したもの これは「技術ツリー」です。製品を実現するために必要な技術を細分化し、階層構造にすることで、技術の体系的な理解や抜け漏れの防止に役立てます。
実務での活用シーン
技術ポートフォリオは、経営戦略を策定する際に頻繁に使用されます。例えば、大企業が新規事業を検討する際、「現在持っている技術は市場でどの位置にあるのか」「競合他社と比較して強みはどこか」を可視化することで、M&A(企業の買収)を行うべきか、自社でゼロから研究開発を行うべきか、といった意思決定の根拠として利用されます。