平成28年度 春期 ITパスポート試験 問16 解説 ISO 9001のメリット
企業がISO 9001を導入することによって期待できるメリットのうち, 適切なものはどれか。
- ア 企業の貿易手続が標準化され, 効率の向上や非関税障壁の減少につながる。
- イ 業界で技術仕様が標準化され, 製品の品質の向上や市場の拡大が進む。
- ウ 情報資産の取扱方法が標準化され, 情報セキュリティの品質が向上する。
- エ 品質管理に関する業務運営が標準化され, 管理の質や効率が向上する。 ✓ 正答
解説
正解を選ぶための考え方
ISO 9001という用語を見たら、キーワードとして「品質」と「マネジメントシステム(仕組み)」の二つを連想してください。ISO 9001は、製品やサービスの品質を安定させ、顧客満足度を高めるための仕組みづくりを定めた国際規格です。そのため、品質管理に関する業務運営が適正化され、管理の質が向上するというエを選ぶのが正解です。
ISO 9001:品質マネジメントシステムの役割
ISO 9001は、企業が「継続的に良い製品やサービスを提供し続けるための仕組み」を持っていることを第三者機関が審査・認証するものです。ここで重要になるのが、属人化(特定の担当者にしか分からない業務がある状態)を防ぎ、誰が担当しても同じ手順で、一定の品質が担保されるように業務を標準化することです。
もし企業内に「品質管理のルール」がバラバラに存在していたら、トラブルが発生したときに原因の特定が遅れたり、担当者によって製品の質にムラが出たりします。ISO 9001を取得する過程で業務フローを文書化し、標準化することで、組織全体の管理能力が底上げされ、結果として効率も向上するというわけです。
他の選択肢が誤りである理由
試験対策として、他のISO関連の選択肢も整理しておくと応用が利きます。
アの「貿易手続の標準化」は、ISO 9001ではなく、より広範な貿易実務や関税関連の国際的な取り決めに近いものです。 イの「業界での技術仕様の標準化」は、例えば「ねじの規格」や「USBの端子形状」のような製品自体の物理的な仕様を指します。これらはISOやIEC(国際電気標準会議)が定める別の規格の役割です。 ウの「情報セキュリティの品質向上」は、ISO 27001(ISMS:情報セキュリティマネジメントシステム)の領域です。
業務における活用の視点
この知識は、単なる試験用語としてだけでなく、将来皆さんがビジネス現場で「業務マニュアル」を作成したり「プロジェクトの管理手法」を構築したりする際のヒントになります。
組織におけるマネジメントシステムとは、単に厳格なルールを押し付けることではなく、「何を」「誰が」「いつ」「どのように」行うかを明確に定義し、もし問題が起きたらそのプロセスを見直して改善していく、というサイクル(PDCAサイクル)を回す仕組みのことです。この基本的な考え方は、ITパスポートの他の分野であるプロジェクトマネジメントやシステム監査とも密接につながっています。