平成28年度 春期 ITパスポート試験 問30 解説 SWOT分析と戦略
自動車メーカA社では,近い将来の戦略を検討するため自社の強みと弱み,そして, 外部環境の機会と脅威を整理した。この結果を基に,強みを活用して脅威を克服す る対策案として,適切なものはどれか。
- ア. 熟練工の定年を延長,又は再雇用を実施する。
- イ. 低金利で資金を調達し,石油を大量に備蓄する。
- ウ. 電気自動車の研究開発を推し進め,商品化する。 ✓ 正答
- エ. ブランドイメージを生かして販売力を強化する。
解説
この問題は、SWOT分析のフレームワークにおいて、自社の「強み」を活かして外部の「脅威」を回避または克服する、いわゆる「ST戦略」を選択する問題です。
正解にたどり着くための判断基準は以下の通りです。
- 問題文にある「強み」と「脅威」の組み合わせを探す。
- 選択肢の中から、強みを活用し、かつ脅威を直接的に解決するアクションを選ぶ。
SWOT分析におけるST戦略の考え方
SWOT分析では、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を掛け合わせて戦略を立案します。今回の設問で求められているのは「強み × 脅威」の組み合わせ、すなわちST戦略です。
提供された図から要素を整理すると、以下のようになります。 ・強み:強力なブランドイメージ、多方面にわたる研究開発の蓄積 ・脅威:石油価格の高騰、環境保護意識の浸透
この場合、「環境保護意識の浸透」という脅威に対して、自社の持つ「研究開発の蓄積」という強みを活かして新しい価値を提供することが、最も論理的で効果的な対策となります。電気自動車は、まさにこのニーズに応える製品です。
他の選択肢を分析すると、より構造的な違いが見えてきます。 ・選択肢ア:弱み(熟練工の不足など)への対応であり、ST戦略ではありません。 ・選択肢イ:機会(金利低下)を活かそうとする発想ですが、石油備蓄は環境保護という根本的な課題解決にはつながりにくいものです。 ・選択肢エ:ブランドイメージという強みを活かしていますが、これは「強み×機会」のSO戦略に近い、積極的な販売促進の側面が強くなります。
経営戦略におけるSWOT分析の活用意義
SWOT分析は、単なる現状整理のためのツールではありません。企業の経営資源には限りがあるため、どこに重点を置くべきかという「優先順位」を決定するための判断基準として活用されます。
試験対策としての重要ポイントは、単に用語を覚えるだけでなく、各戦略の組み合わせが何を目的としているかを理解することです。
・SO戦略(強み×機会):攻めの戦略。強みを活かして機会を最大化する。 ・ST戦略(強み×脅威):防御または転換の戦略。強みを盾にして脅威による悪影響を食い止める。 ・WO戦略(弱み×機会):改善の戦略。機会を活かすために弱みを克服する。 ・WT戦略(弱み×脅威):撤退や回避の戦略。致命的な状況を避けるための防衛。
実務では、これら4つの方向性を俯瞰することで、経営者は「今、自社はどこにリソースを集中すべきか」という戦略的意思決定を行います。ITパスポート試験においても、単なる暗記ではなく、提示された状況下で最も論理的な打ち手は何か、という「ビジネス上の妥当性」を問う問題として頻出です。