平成28年度 春期 ITパスポート試験 問41 解説 サービスレベル管理
SLAの合意内容を達成するために, サービス状況のモニタリングやレビューなどを通じてサービスレベルの維持や向上を図る活動を何というか。
- CSR
- ERP
- SLM ✓ 正答
- SWOT
解説
正解を導くためのキーワードの結びつき
問題文にある「SLA(サービスレベル合意書)」と「維持・向上」というキーワードに注目してください。「SLA」という約束事(合意)を守り、さらに高めていくための「マネジメント(管理)」活動を指す言葉を探せば、答えはSLMとなります。
SLMとSLAの関係性
ITサービスマネジメントの世界では、提供者(IT部門など)と利用者(ユーザー部門など)の間で、提供するサービスの品質基準(応答時間、稼働率、問い合わせ対応時間など)を文書として取り交わします。これがSLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)です。
しかし、SLAを結んだだけでサービスの品質が勝手に維持されるわけではありません。現実には、機器の故障やアクセス集中のような予期せぬトラブルが発生します。そこで、以下のサイクルを回すプロセスが必要になります。
- サービス状況をモニタリングする(現状把握)
- 実績を測定し、SLAで定めた目標値と比較する(分析)
- サービスレベルに不足があれば改善計画を立て、達成できていればさらなる向上を目指す(維持・改善)
この、SLAを維持・向上させるための一連の管理プロセス全体をSLM(Service Level Management:サービスレベル管理)と呼びます。
なぜ他の選択肢ではいけないのか
ITパスポート試験では、似たようなアルファベットの略称が並ぶことがよくあります。今回の選択肢もIT関連用語ですが、役割が全く異なります。
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)は、環境保護や法令順守など、企業が社会に対して果たすべき責任のことです。ITサービスの品質管理とは分野が異なります。
ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)は、経営の効率化を図るために、会計、人事、生産、販売などの基幹業務を統合的に管理するシステムのことです。これは「サービス管理」の手法ではなく、「業務管理の仕組み(システム)」を指します。
SWOT(Strengths, Opportunities, Weaknesses, Threats)は、事業の現状を分析するフレームワークです。強み、機会、弱み、脅威の4つの観点から戦略を立てるために使われます。サービスの品質を維持・管理する「活動そのもの」ではありません。
実務における重要性
この知識は、ITシステムの運用現場で非常に重要です。「システムを作って終わり」ではなく、稼働後の安定性をどう確保し、利用者の満足度を高めていくかという視点は、現代のITビジネスの根幹を成しています。SLAとSLMを理解しておくことは、ベンダーとユーザーが建設的な関係を築くための共通言語を学ぶことと同義です。