平成28年度 春期 ITパスポート試験 問48 解説 ファシリティマネジメント
システム開発のための施設・設備を維持・保全するために,次のことを計画し, 実施する活動として,適切なものはどれか。 プロジェクトルームの中に,テストデータの機密性を確保するための部屋を設置して入退室管理を行う。テスト作業用に設置したサーバは,停電時のデータ消失を防ぐために,無停電電源装置に接続する。
- ア アセットマネジメント
- イ 環境マネジメントシステム
- ウ 品質マネジメントシステム
- エ ファシリティマネジメント ✓ 正答
解説
この問題は、キーワードの「施設・設備」と「維持・保全」に着目すれば即座に解くことができます。問題文にある「プロジェクトルーム」「入退室管理」「無停電電源装置(UPS)」といった具体的な設備や環境の管理は、すべて施設管理の領域です。これらを指す用語として、選択肢の中からファシリティマネジメントを選びます。
ファシリティマネジメントとは何か
ファシリティマネジメント(Facility Management)とは、組織が所有または賃借している建物や設備(ファシリティ)を最適に活用し、経営効率を高める管理手法のことです。
単に掃除をしたり壊れたものを直したりするだけではありません。今回のように、物理的なセキュリティ(入退室管理)を強化して機密性を守ったり、災害対策(無停電電源装置によるデータ保護)を行ったりすることも、重要な活動の一部です。組織が本来の業務(システム開発など)を安全かつ継続的に行えるよう、その足元となる環境を整えることが目的です。
なぜ他の選択肢ではいけないのか
それぞれの選択肢がどのような分野を指しているかを確認すると、さらに理解が深まります。
ア アセットマネジメント 資産管理のことです。ITの分野では、保有するハードウェアやソフトウェアのライセンス数、使用状況などを台帳で管理することを指します。今回の問題のような物理環境の整備とは視点が異なります。
イ 環境マネジメントシステム ISO 14001などで知られるもので、企業活動が環境(自然環境)に与える影響を管理するための仕組みです。省エネ活動やゴミの削減などが代表例です。
ウ 品質マネジメントシステム ISO 9001などが有名で、提供する製品やサービスの品質を継続的に向上させるための管理手法です。今回のような物理設備の維持ではなく、業務プロセスや製品の仕様管理に焦点が当てられます。
実務におけるファシリティマネジメントの重要性
システム開発において、どれだけ優れたプログラムを書いても、サーバーが停電で停止したり、部外者が勝手に開発ルームへ立ち入ったりしては意味がありません。
近年のクラウド化が進む環境下でも、物理的なデータセンターの堅牢性やオフィス内のネットワーク環境の整備は不可欠です。この問題は、エンジニアであっても「システムが動くための基盤(ファシリティ)」に意識を向ける必要があるという、現代のIT現場の現実を教えてくれています。