平成28年度 春期 ITパスポート試験 問71 解説 ネットワークの交換方式
ネットワークの交換方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 回線交換方式では,通信利用者間で通信経路を占有するので,接続速度や回線品質の保証を行いやすい。 ✓ 正答
- 回線交換方式はメタリック線を使用するので,アナログ信号だけを扱える。
- パケット交換方式は,複数の端末で伝送路を共有しないので,通信回線の利用効率が悪い。
- パケット交換方式は無線だけで利用でき,回線交換方式は有線だけで利用できる。
解説
この問題は、ネットワークのデータ転送方式である「回線交換方式」と「パケット交換方式」の根本的な違いを理解できているかを問うものです。
正解となる選択肢は「回線交換方式では,通信利用者間で通信経路を占有するので,接続速度や回線品質の保証を行いやすい。」です。
判断のポイントは、それぞれの方式の「リソース(回線)をどう使うか」にあります。回線交換は「専用道路を通る」イメージ、パケット交換は「同じ道路をみんなでシェアする」イメージを持つとスムーズに理解できます。
回線交換方式とは
電話回線のように、通信開始から終了まで、送信側と受信側の間で特定の回線を完全に占有する方式です。
・メリット:通信経路を独占するため、他の利用者の影響を受けず、遅延が少なく安定した通信品質が確保できます。 ・デメリット:通信をしていない時間帯も回線を確保し続けるため、効率が悪く、通信コストが高くなりがちです。
この方式は、電話のように「通話品質を一定に保つ必要がある」サービスには適していますが、不特定多数が断続的に通信するインターネットのような環境には適していません。
パケット交換方式とは
送信するデータを「パケット」と呼ばれる小さな単位に分割し、それぞれのパケットに宛先情報をつけて送る方式です。
・メリット:物理的な回線を複数の利用者で共有するため、回線を効率よく利用できます。インターネット通信の主流であり、大量の通信を安価に行えます。 ・デメリット:他の利用者のトラフィック状況によって遅延が発生したり、品質が変動したりする可能性があります。
現在のインターネットやLAN環境は、ほぼすべてこのパケット交換方式で成り立っています。
なぜこの知識が重要なのか
ITパスポート試験においてこの問題が頻出するのは、現代の通信インフラの成り立ちを知る必要があるからです。
例えば、Webサイトを閲覧する際、私たちは常に回線を占有しているわけではありません。データが送られてくる一瞬だけ回線を利用し、残りの時間は他の人の通信に回線が使われています。この「回線の共有」という考え方は、サーバーの負荷分散やクラウドサービスの仕組みを理解する上での土台となります。
また、近年のネットワーク技術では、回線交換の「品質保証」というメリットと、パケット交換の「効率性」を両立させる技術(QoS:Quality of Serviceなど)も活用されています。基本的な二つの方式の違いを理解しておくことで、こうした応用技術の背景もスムーズにイメージできるようになります。
誤った選択肢の解説
・回線交換方式はアナログ信号だけを扱える:現在はデジタル技術が主流であり、回線交換方式であってもデジタル信号を扱うことは可能です。 ・パケット交換方式は利用効率が悪い:逆に、回線を多くのユーザーで共有するため、非常に効率的です。 ・パケット交換は無線だけ、回線交換は有線だけ:どちらの方式も、有線・無線を問わず技術的に実装可能です。