平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問30 解説 バリューエンジニアリング
バリューエンジニアリングでは,消費者の立場から,製品が有する機能と製品に要する総コストの比率で製品の価値を評価する。バリューエンジニアリングの観点での総コストの説明として,適切なものはどれか。
- 新たな機能の研究や開発に要する費用
- 消費者が製品を購入してから,使用し廃棄するまでに要する費用 ✓ 正答
- 製品の材料費に労務費と経費を加えた製造に要する費用
- 製品の製造に用いる材料の調達や加工に要する費用
解説
バリューエンジニアリング(VE)における価値は、機能とコストの比率(価値=機能/コスト)で表されます。この定義におけるコストは、単なる製造原価ではなく、製品のライフサイクル全体を通して発生する費用であると判断します。したがって、購入から使用、維持管理、そして廃棄に至るまでのトータルコストを選ぶのが正解です。
バリューエンジニアリング(VE)とは、製品やサービスの価値を最大化するための手法です。VEの考え方では、顧客にとっての価値は「機能/コスト」という式で表されます。このとき、分母となるコストに含めるべきは、単にメーカーが製品を作る際にかかったお金だけではありません。
製品の価値を考える際、その製品を使い続ける間にかかる電気代、修理費、消耗品の交換費用、さらには使い終わった後に処分するための廃棄費用まで含める必要があります。このように、製品の生涯(ライフサイクル)にかかる費用全体をライフサイクルコストと呼びます。もし、製造コストだけを削減しても、結果として修理頻度が増えたり、維持費が高くなったりしてライフサイクルコストが上がってしまえば、顧客にとっての価値は低下してしまいます。VEは、製品の全体的な価値を最適化するために、この広い視点でのコスト低減を目指す手法です。
この知識は、ITシステム開発の現場でも非常に重要です。例えば、社内システムの導入を検討する際、導入時の見積もり(初期費用)だけに目を奪われてはいけません。運用中の保守費用、クラウドの利用料金、将来的な廃棄やリプレースにかかる費用などを総合的に考慮する必要があります。このように、単一の局面だけでなく、長い期間のコストを考慮する視点は、コスト管理能力や経営的な判断力を養うために不可欠です。ITパスポート試験でこの項目が問われる背景には、ITエンジニアやビジネスパーソンとして、目先だけでなく全体を見通したコスト意識を持ってほしいという教育的な意図があります。
バリュー・エンジニアリング - Wikipedia ライフサイクルコストとは - IT用語辞典 e-Words バリューエンジニアリング(VE)とは - 日本バリュー・エンジニアリング協会