平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問53 解説 プロジェクトスコープ
プロジェクトにおけるスコープとは,プロジェクトの成果物及び成果物を作成するために行わなければならない作業のことである。あるシステム開発プロジェクトにおいて,システム要件定義,設計,プログラミング,テストを実施する。a~cのうち,このプロジェクトのスコープに含まれるものとして,適切なものだけを挙げたものはどれか。 a 開発するシステムやその設計書 b テスト完了後の本番稼働時における保守作業 c プロジェクトメンバ育成計画の作成や実施
- ア a
- イ a,c ✓ 正答
- ウ b,c
- エ c
解説
プロジェクトスコープを定義する際は、プロジェクトの期間と範囲を明確に区別することがポイントです。今回の問題では、開発期間中に行う作業や成果物であるかどうかを確認し、運用フェーズにあたるものは除外するという手順で判断します。
プロジェクトスコープの考え方
プロジェクトスコープとは、あるプロジェクトを完了させるために必要な作業の範囲と、その結果として納品すべき成果物の総称です。言い換えれば、プロジェクトのゴールに到達するために、何を行い、何を作らなければならないかという境界線を指します。
今回の選択肢を分類すると以下のようになります。
aの開発するシステムや設計書は、システム開発プロジェクトの最終成果物そのものですので、スコープに含まれます。 cのメンバ育成計画の作成や実施は、プロジェクトを遂行するための管理業務(マネジメント作業)の一部です。プロジェクトを円滑に進めるための必要なプロセスであるため、これもスコープに含まれます。 一方で、bの保守作業は、システムが完成して引き渡された後の運用フェーズの話です。プロジェクト自体は完成した時点で終了するため、稼働後の保守はプロジェクトスコープの外側となります。
現場で役立つスコープ定義の視点
実務においてスコープを適切に定義することは、プロジェクトの失敗を防ぐための最も重要な作業の一つです。スコープが曖昧なままだと、後からやるべき作業が増えて予算や納期がオーバーする「スコープクリープ」と呼ばれる現象が発生します。
例えば、システム開発において「どこまでが開発チームの責任で、どこからが運用チームの作業か」という境界線を明確にしておくことで、メンバーは自分の集中すべき領域を理解できます。また、cのように管理作業(育成や進捗管理など)をスコープに含める意識を持つことは、プロジェクトマネージャにとって不可欠です。開発の実作業だけでなく、チームを維持・強化するための作業もプロジェクト成功のための必須事項だからです。
試験では、この「プロジェクト期間中の作業か、期間外の運用か」「成果物作成のための管理プロセスか」という視点を持つことで、迷わず正解を導き出せるようになります。
プロジェクトマネジメントの基礎知識(ITパスポート試験ドットコム) https://www.itpassportsiken.com/kakomon/28aki/q53.html プロジェクトスコープマネジメント(PMI日本支部) https://www.pmi-japan.jp/knowledge/project-management-basics/project-scope-management