令和3年度 ITパスポート試験 公開問題 問20 解説 機械学習の事例
画像認識システムにおける機械学習の事例として,適切なものはどれか。
- ア オフィスのドアの解錠に虹彩の画像による認証の仕組みを導入することによって,セキュリティが強化できるようになった。
- イ 果物の写真をコンピュータに大量に入力することで,コンピュータ自身が果物の特徴を自動的に抽出することができるようになった。 ✓ 正答
- ウ スマートフォンが他人に利用されるのを防止するために,指紋の画像認識でロック解除できるようになった。
- エ ヘルプデスクの画面に,システムの使い方についての問合せを文字で入力すると,会話形式で応答を得ることができるようになった。
解説
この問題は、機械学習がこれまでのシステム開発と何が違うのかという本質を理解しているかを問うています。判断のポイントは、コンピュータが自律的にルールを学習しているかどうかです。
機械学習を用いたシステム、特に近年のディープラーニング(深層学習)を活用した画像認識では、人間が「果物の特徴はこの形、この色」といったルールを事前に定義する必要がありません。大量の画像データを読み込ませることで、コンピュータ自身がデータの背後にある共通性や特徴を自動的に見つけ出し、判断基準を作り上げます。これが選択肢イの正しい理由です。
一方、選択肢アやウのような生体認証システムは、あらかじめ登録されたデータ(虹彩や指紋)と、入力されたデータを照合する仕組みです。これらは「あらかじめ用意されたデータと一致するか」を確認するパターンマッチング技術であり、学習によってコンピュータが自ら判断基準を構築しているわけではありません。また、選択肢エは自然言語処理の分野であり、画像認識という問題文の前提から外れています。
機械学習と従来のシステム開発の決定的な違いは、学習のプロセスがあるかどうかです。従来のシステムは、人間が事細かにプログラミングしたルールに従って処理を行う「ルールベース」でしたが、機械学習はコンピュータに大量のデータを与えることで、ルール自体をコンピュータに考えさせます。
この考え方は、ITパスポート試験において非常に重要です。機械学習や人工知能に関する問題では、人間が教え込むのか、コンピュータが経験から学んでいるのかという視点で選択肢を見ると、正解を導きやすくなります。例えば、売上予測や異常検知、おすすめ機能など、データが蓄積されればされるほど精度が向上する仕組みは、すべてこの学習プロセスに基づいています。
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