令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問18 解説 コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスを強化した事例として,最も適切なものはどれか。
- 女性が活躍しやすくするために労務制度を拡充した。
- 迅速な事業展開のために,他社の事業を買収した。
- 独立性の高い社外取締役の人数を増やした。 ✓ 正答
- 利益が得られにくい事業から撤退した。
解説
正解への判断基準
コーポレートガバナンスとは、企業が健全で透明性の高い経営を行うための管理体制のことです。この問題は、経営陣が独断に走らないよう「外部の目」を入れて監視・監督機能を高める施策を選べば正解となります。したがって、経営陣から独立した社外取締役を増やす選択肢ウが最も適切です。
コーポレートガバナンス(企業統治)とは
企業は株主から経営を委託されていますが、経営陣が株主の利益を無視して自分たちの都合や不適切な手法で会社を運営してしまうリスクがあります。これを防ぎ、企業価値を最大化するために、ルールや仕組みを整えることをコーポレートガバナンスと呼びます。
具体的には「経営陣の監督」「情報の開示(ディスクロージャー)」「法令順守(コンプライアンス)」が重要な要素となります。特に、経営の執行部(社内取締役など)とは利害関係のない、専門的知見を持った社外取締役を招くことで、客観的な視点から経営に対する監視を行うことが強く推奨されています。
思考プロセスと選択肢の分析
問題文にある「強化した事例」という言葉に注目しましょう。
アの「労務制度の拡充」はダイバーシティ(多様性)経営や働き方改革に関する施策であり、ガバナンスとは直接的な関係が薄いです。 イの「他社の買収」は事業戦略や成長戦略の一環です。 エの「不採算事業からの撤退」は経営判断の一つであり、効率化を目指すものですが、ガバナンス(統治構造)そのものを強化する取り組みではありません。
ウの「独立性の高い社外取締役の人数を増やす」ことは、経営の監督機能を強化し、企業が社会に対して透明性の高い経営を行っていることを証明する典型的なガバナンス強化策です。試験では、この用語を見たら「監視」「透明性」「社外取締役」というキーワードをセットで連想できるようにしておきましょう。
実務におけるコーポレートガバナンス
実務の現場において、コーポレートガバナンスは単なる形式的なルールではありません。近年の企業不祥事(粉飾決算やデータ改ざんなど)の多くは、内部だけで閉じた意思決定が行われ、誰も経営陣を止めることができなかったことに起因しています。
そのため、現在の上場企業では「誰が経営を監視しているのか」が株主や取引先からの信頼を左右する重要な指標となっています。ITパスポートでこの知識を学ぶことは、IT部門が社内のシステム監査や内部統制に関わる際、「なぜセキュリティポリシーが必要なのか」「なぜ権限分掌が重要なのか」といったガバナンスの根底にある考え方を理解する第一歩となります。