令和7年度 ITパスポート試験 公開問題 問23 解説 コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスの強化に有効な施策だけを全て挙げたものはどれか。 a 株式公開買付けによる企業の買収 b 執行役員制度の導入による経営と執行の分離 c 独立性の高い社外取締役の選任
- ア a, b
- イ a, b, c
- ウ b, c ✓ 正答
- エ c
解説
コーポレートガバナンスの強化とは、株主やステークホルダー(利害関係者)のために、企業の経営が適正かつ透明に行われる仕組みを作ることです。この問題は、経営の監視機能や意思決定の健全性を高める施策を選べるかが問われています。
判断のポイントは、その施策が「経営のチェック体制を強化するものか」あるいは「単なる外部からの資本移動(買収)か」という点です。
経営の適正化を図る仕組み:b と c
選択肢bの「執行役員制度の導入」は、経営の意思決定を行う「取締役会」と、その決定に基づいて実際に業務を行う「執行部門」を分ける制度です。経営陣が自分の業務を自分で監視することの限界を補い、業務執行の責任と権限を明確にするため、ガバナンス強化に直結します。
選択肢cの「社外取締役の選任」も非常に有効です。社内のしがらみがない外部の専門家が取締役会に参加することで、経営陣に対する公平な監視や、より多角的な視点からの意思決定が可能になります。現代の経営では、独立性の高い社外取締役を増やすことが、透明性の高い経営の代名詞となっています。
なぜ a は含まれないのか
選択肢aの「株式公開買付け(TOB)」は、証券取引所を通さずに株を買い集める手法であり、主にM&A(合併・買収)や敵対的買収などで用いられます。これは企業を買収する「手法」の一つであり、買収された後の企業がガバナンスを強化するかどうかは、買収後の経営判断に委ねられます。したがって、施策そのものがガバナンス強化の手段であるとは言えません。
コーポレートガバナンスが重視される理由
ITパスポート試験でこの項目が出題される背景には、IT企業を含むあらゆる組織が「法令順守(コンプライアンス)」と「企業の持続的な成長」を同時に求められている現状があります。
ガバナンスが疎かになると、粉飾決算や不祥事が発生しやすく、企業の価値が地に落ちてしまいます。ITパスポートでこれらの仕組みを学ぶのは、単に用語を覚えるためではなく、自分が所属する組織が「正しい経営判断を行っているか」「誰に対して責任を負っているか」という視点を持つビジネスパーソンを目指すためです。
例えば、社外取締役が厳しく意見を述べる場があるか、執行役員が現場の責任を明確に担っているかを確認することは、その組織の信頼性を判断する際の実践的な知識となります。