第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問120
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令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 機械科目 問120 解説 問12 問12

設問図

問12 誘導加熱に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) 産業用では金属の溶解や金属部品の熱処理などに用いられ,民生用では調理加熱に用いられている。
  2. (2) 金属製の被加熱物を交番磁界内に置くことで発生するジュール熱によって被加熱物自体が発熱する。
  3. (3) 被加熱物の透磁率が高いものほど加熱されやすい。
  4. (4) 被加熱物に印加する交番磁界の周波数が高いほど,被加熱物の内部が加熱されやすい。 ✓ 正答
  5. (5) 被加熱物として,銅,アルミよりも,鉄の方が加熱されやすい。

解説

被加熱物に印加する交番磁界の周波数を高くすると表皮効果により電流が表面に集中するため、内部まで加熱されにくくなるという原理から、選択肢(4)は誤りとなります。

誘導加熱の原理と電磁誘導

誘導加熱(IH)は、電磁誘導の法則を利用した加熱方式です。コイルに交流電流を流すと、その周囲には時間とともに大きさと向きが変化する「交番磁界」が発生します。この磁界の中に金属(被加熱物)を置くと、金属内部に磁界の変化を打ち消そうとする方向に渦電流が生じます。この渦電流が金属の電気抵抗によってジュール熱を発生させ、金属自体を直接加熱します。

表皮効果と加熱の深さ

誘導加熱において重要な現象が、導体に交流が流れる際に生じる「表皮効果」です。これは周波数が高い交流電流ほど、導体の表面近くに集中して流れる性質のことです。

  1. 周波数を高くするほど、渦電流は被加熱物の極めて表面に近い部分に集中して流れるようになります。
  2. 電流が表面付近に集中するということは、電流が被加熱物の内部まで浸透しなくなることを意味します。
  3. 加熱は電流が流れる場所で主に発生するため、周波数が高くなると熱は表面層に限定され、中心部まで熱が伝わりにくくなります。

このため、内部まで深く加熱したい場合は比較的低い周波数を選定し、逆に表面の熱処理を行いたい場合は高い周波数を選定するという使い分けがなされます。

誘導加熱における各条件の判断

金属の種類による加熱のしやすさは、電気抵抗率や磁性、そして表皮効果に関係する透磁率に依存します。

  1. 透磁率が高い材料(鉄など)は、磁束を内部に集中させやすく、また表皮効果が顕著に現れるため、誘導加熱においてエネルギー変換効率が高くなります。
  2. 銅やアルミなどの非磁性体は、透磁率が低く電気抵抗率も低いため、鉄と比較して同じ磁界条件では誘導加熱されにくい特性があります。
  3. 選択肢(4)で示された「周波数が高いほど内部が加熱されやすい」という記述は、表皮効果によって電流が表面に押し込められるという物理現象と矛盾します。

交番磁界の周波数と、金属表面から内部へ向かう電流密度の分布を重ねてみると、浸透の深さと熱の広がりが見えてきます。

参考リンク

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