令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問171 解説 問17(a) 問17(a)
問17(a) 問17及び問18は選択問題であり,問17又は問18のどちらかを選んで解答すること。両方解答すると採点されません。(選択問題)問17 熱伝導について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。断面積が 2m^2,厚さが 30 cm,熱伝導率が 1.6 W/(m・K) の両表面間に温度差がある壁がある。ただし,熱流は厚さ方向のみの一次元とする。(a) この壁の厚さ方向の熱抵抗 R [K/W] に最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 0.0417
- 0.093 8 ✓ 正答
- 0.267
- 2.67
- 4.17
解説
壁の厚さ方向の熱抵抗
断面積 、厚さ 、熱伝導率 の壁の厚さ方向の熱抵抗は、フーリエの法則に基づき導かれる熱抵抗の計算式 を用いて と求められるため、最も近い選択肢である0.0938が正答です。
熱伝導における熱抵抗の概念とフーリエの法則
熱抵抗は、物体を通して熱が伝わりにくさを示す量であり、電気回路における電気抵抗と類似した概念です。熱抵抗が大きいほど、同じ温度差があっても熱が伝わる量が少なくなります。単位はケルビン毎ワット [K/W] またはセルシウス度毎ワット [℃/W] で表されます。この問題のように一次元の定常熱伝導においては、厚さ の壁を熱伝導率 、断面積 を通して熱が伝わる場合、熱抵抗 は以下の式で表されます。
ここで、
- : 熱抵抗 [K/W] または [℃/W]
- : 熱が伝わる方向の厚さ(長さ)[m]
- : 熱伝導率 [W/(m・K)]
- : 熱が伝わる断面積 [m]
この熱抵抗の概念は、熱流束が温度勾配に比例するというフーリエの法則から導かれます。フーリエの法則は、熱流 が、熱伝導率 、断面積 、そして温度勾配 に比例することを示しており、 と表されます。ここで は温度差です。この式を熱抵抗の形で整理すると、 となり、電気回路におけるオームの法則 (電流 = 電圧 / 抵抗)と対比すると、熱流 が電流 に、温度差 が電圧 に対応し、熱抵抗 が電気抵抗に相当することが理解できます。
壁の厚さ方向の熱抵抗の計算
問題で与えられた条件と熱抵抗の式を用いて、具体的な熱抵抗の値を計算します。
必要な物理量の整理と単位の確認 問題文から以下の値が与えられています。
- 断面積
- 厚さ
- 熱伝導率
熱抵抗の計算式では、厚さ の単位をメートル [m] に統一する必要があります。したがって、 を に変換します。
熱抵抗の計算式の適用 上記で説明した壁の厚さ方向の熱抵抗 の式に、整理した物理量を代入します。
計算の実行
選択肢との比較 計算で得られた熱抵抗 を選択肢と照合します。 (1) (2) (3) (4) (5) に最も近い値は選択肢(2)の です。
断面積 、厚さ 、熱伝導率 の数値を熱抵抗の式に当てはめてみると、熱の伝わりにくさが数値として具体的に見えてきます。