第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問172
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令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問172 解説 問17(b) 問17(b)

設問図

問17(b) 問17及び問18は選択問題であり,問17又は問18のどちらかを選んで解答すること。両方解答すると採点されません。(選択問題)問17 熱伝導について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。断面積が 2m^2,厚さが 30 cm,熱伝導率が 1.6 W/(m・K) の両表面間に温度差がある壁がある。ただし,熱流は厚さ方向のみの一次元とする。(b) この壁の低温側の温度 t_L が 20 ℃のとき,この壁の熱流 φ が 100 W であった。このとき,この壁の高温側の温度 t_H の値 [℃] に最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 21.0
  2. 22.1
  3. 24.2
  4. 29.4 ✓ 正答
  5. 46.7

解説

断面積が 2 m22 \text{ m}^2、厚さが 30 cm30 \text{ cm}、熱伝導率が 1.6 W/(m・K)1.6 \text{ W/(m・K)} の壁に 100 W100 \text{ W} の熱流が流れており、低温側の温度が 20 ℃20 \text{ ℃} であるとき、この壁の熱抵抗 R=0.09375 K/WR = 0.09375 \text{ K/W} を用いてフーリエの法則(熱伝導の基本式)を適用すると、高温側の温度 tHt_H は 29.375 ℃29.375 \text{ ℃} と計算され、選択肢(4)の 29.4 ℃29.4 \text{ ℃} が最も近い値となります。

熱伝導の基本原理と熱抵抗

この問題は、熱が物質を伝わる現象である「熱伝導」に関するものです。熱伝導では、温度差があるときに高温側から低温側へ熱エネルギーが移動します。この熱の流れの量を**熱流(ϕ\phi)**と呼び、単位はワット(W)で表されます。これは電気回路における電流に相当します。

熱流の大きさは、温度差が大きいほど、また熱が流れやすい材料であるほど大きくなります。物質がどれだけ熱を伝えやすいかを示す定数を**熱伝導率(λ\lambda)といい、単位は W/(m・K)\text{W/(m・K)} です。 また、熱の流れにくさを示す指標として熱抵抗(RR)**があります。熱抵抗は、材料の厚さ LL に比例し、熱伝導率 λ\lambda と断面積 AA に反比例します。すなわち、以下の式で表されます。

R=LλAR = \frac{L}{\lambda A}

単位は K/W\text{K/W} または ℃/W\text{℃/W} です。温度差の単位が K\text{K} (ケルビン) と ℃\text{℃} (セルシウス度) であっても、その「差」は同じ値であるため、どちらの単位を用いても構いません。

熱流 ϕ\phi、熱抵抗 RR、そして温度差 ΔT=(tH−tL)\Delta T = (t_H - t_L) の間には、電気回路のオームの法則 I=V/RI = V/R と同様の関係が成り立ちます。これを「熱伝導のオームの法則」と呼ぶこともあり、熱伝導の基本的な関係式としてフーリエの法則があります。フーリエの法則は、壁を一次元的に熱が流れる場合、熱流 ϕ\phi は温度差 ΔT\Delta T に比例し、熱抵抗 RR に反比例することを示しています。

ϕ=ΔTR=tH−tLR\phi = \frac{\Delta T}{R} = \frac{t_H - t_L}{R}

ここで、tHt_H は高温側の温度、 tLt_L は低温側の温度です。この式を用いることで、熱流、熱抵抗、温度のいずれかを知りたい値を計算できます。

壁の高温側温度の算出

設問の壁における高温側温度 tHt_H を、与えられた条件と上記の熱伝導の法則を用いて求めます。

  1. 壁の熱抵抗 RR を求める まず、設問文に示された壁の仕様から熱抵抗 RR を計算します。問題文では厚さ LL が cm\text{cm} で与えられているため、これを m\text{m} に変換します。

    • 断面積 A=2 m2A = 2 \text{ m}^2
    • 厚さ L=30 cm=0.3 mL = 30 \text{ cm} = 0.3 \text{ m}
    • 熱伝導率 λ=1.6 W/(m・K)\lambda = 1.6 \text{ W/(m・K)}

    これらの値を熱抵抗の式 R=L/(λA)R = L / (\lambda A) に代入します。 R=0.3 m1.6 W/(m・K)×2 m2=0.33.2=0.09375 K/WR = \frac{0.3 \text{ m}}{1.6 \text{ W/(m・K)} \times 2 \text{ m}^2} = \frac{0.3}{3.2} = 0.09375 \text{ K/W}

  2. 高温側温度 tHt_H を計算する 次に、熱流 ϕ\phi、低温側温度 tLt_L、および求めた熱抵抗 RR を使って、高温側温度 tHt_H を計算します。 熱流の基本式 ϕ=(tH−tL)/R\phi = (t_H - t_L) / R を、tHt_H について解くと次のようになります。 tH−tL=ϕ×Rt_H - t_L = \phi \times R tH=tL+ϕ×Rt_H = t_L + \phi \times R

    与えられた値と計算した熱抵抗を代入します。

    • 低温側の温度 tL=20 ℃t_L = 20 \text{ ℃}
    • 熱流 ϕ=100 W\phi = 100 \text{ W}
    • 熱抵抗 R=0.09375 K/WR = 0.09375 \text{ K/W}

    tH=20 ℃+100 W×0.09375 K/Wt_H = 20 \text{ ℃} + 100 \text{ W} \times 0.09375 \text{ K/W} tH=20+9.375=29.375 ℃t_H = 20 + 9.375 = 29.375 \text{ ℃}

  3. 選択肢との比較 計算結果 29.375 ℃29.375 \text{ ℃} に最も近い選択肢は、(4) 29.4 ℃29.4 \text{ ℃} です。

これらの数値が示す熱流と温度差の関係を壁の各面と重ねてみると、熱が伝わる具体的なイメージが見えてきます。

参考リンク

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