令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問60 解説 問6 問6
問6 問6 次のような三相同期発電機がある。 1極当たりの磁束 0.10 Wb、 極数 12、 1分間の回転速度 600 min⁻¹、 1相の直列巻数 250、 巻線係数 0.95、 結線 Y(1相のコイルは全部直列) この発電機の無負荷誘導起電力(線間値)の値[kV]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、エアギャップにおける磁束分布は正弦波であるものとする。
- 2.09
- 3.65
- 6.33
- 11.0 ✓ 正答
- 19.0
解説
この三相同期発電機の無負荷誘導起電力(線間値)は、極数と回転速度から周波数を算出し、その周波数、1極当たりの磁束、1相の直列巻数、巻線係数を用いて1相あたりの誘導起電力(相電圧)を求め、さらにY結線であることから相電圧を√3倍することで線間電圧を導出するため、選択肢(4)の11.0 kVに最も近い値が得られます。
同期発電機の誘導起電力の原理と計算
同期発電機のコイルには、回転する磁界によって磁束の変化が生じ、この磁束の変化が起電力を誘起します。この現象はファラデーの電磁誘導の法則に基づいています。特に、エアギャップにおける磁束分布が正弦波であると仮定されている場合、誘導される起電力も正弦波交流となり、その実効値は特定の公式で求めることができます。
誘導起電力の相電圧と周波数
同期発電機の1相あたりの無負荷誘導起電力(相電圧) [V] は、以下の式で表されます。
- : 誘導起電力の周波数 [Hz]
- : 1相の直列巻数
- : 1極当たりの磁束 [Wb]
- : 巻線係数
この公式中の各要素について補足します。 周波数 は、発電機の極数 と回転速度 [min⁻¹] によって決まります。 この式は、極数が多いほど、また回転速度が速いほど周波数が高くなるという関係を示しています。
巻線係数 は、コイルの巻き方が理想的な集中巻き・全節巻でない場合に、誘導起電力が減少する割合を考慮するための係数です。一般的には、分布巻係数と短節巻係数の積で与えられますが、本問では値が直接与えられています。この係数が1より小さい値であるため、起電力は理想的な場合に比べて減少します。
Y結線における相電圧と線間電圧の関係
三相同期発電機は、そのコイルの接続方法によってY結線(スター結線)とΔ結線(デルタ結線)に分類されます。本問ではY結線であることが指定されています。Y結線では、各相のコイルが一点(中性点)で接続され、それぞれの相と中性点の間にかかる電圧を相電圧、各相の端子間にかかる電圧を線間電圧と呼びます。
Y結線における相電圧 と線間電圧 の間には、次の関係が成り立ちます。
これは、各相の起電力が互いに120度の位相差を持つため、線間電圧が相電圧の√3倍になることを示しています。
無負荷誘導起電力(線間値)の計算
与えられた条件と上記の法則を用いて、無負荷誘導起電力(線間値)を順に計算していきます。
周波数 を計算します 問題文より、極数 、1分間の回転速度 min⁻¹ です。
1相あたりの無負荷誘導起電力(相電圧) を計算します 問題文より、1極当たりの磁束 Wb、1相の直列巻数 、巻線係数 です。ステップ1で求めた周波数 Hz を用います。
線間電圧 を計算します 結線がY結線であるため、線間電圧は相電圧の倍になります。
単位をkVに変換し、最も近い選択肢を選びます この値は、選択肢(4)の11.0 kVに最も近い値です。
発電機の極数と回転速度、コイルの巻数や磁束、そして結線の種類といった個々の条件を見つめると、それらがどのように連携して最終的な起電力として現れるのかが見えてきます。