令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問162 解説 問16(b) 問16
問16(b) 図のように, 定格電圧66kVの電源から三相変圧器を介して二次側に遮断器が接続された系統がある。この三相変圧器は定格容量10MV・A, 変圧比66/6.6kV, 百分率インピーダンスが自己容量基準で7.5%である。変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンスを基準容量100MV・Aで5%とするとき, 次の(a)及び(b)の間に答えよ。図のA点で三相短絡事故が発生したとき, 事故電流を遮断できる遮断器の定格遮断電流の最小値[kA]として, 最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし, 変圧器二次側からA点までのインピーダンスは無視するものとする。
- 8
- 12.5 ✓ 正答
- 16
- 20
- 25
解説
A点で発生した三相短絡事故時の遮断電流は、基準容量100 MV・Aにおける合成パーセントインピーダンスを8.0%とすることで、事故電流約10.9 kAが計算され、遮断器の定格遮断電流として最も近い12.5 kAが選択されます。
パーセントインピーダンス法と短絡電流
電力系統における短絡事故の計算には、パーセントインピーダンス法が用いられます。この方法は、電圧、電流、容量をパーセント値(または単位法)に変換することで、複雑な変圧器を含む回路を単純な直列インピーダンスとして扱う手法です。
短絡事故発生時の短絡電流 [A] は、基準容量を [MV・A]、基準電圧を [kV]、合成パーセントインピーダンスを [%] とすると、以下のオームの法則に基づく関係式から求められます。
ここで、 は、その地点における定格電流を表します。短絡電流はこの定格電流を の逆数倍したものとなり、系統のインピーダンスが低いほど、すなわち が小さいほど、短絡電流が大きくなるという性質を持っています。
短絡電流の算出ステップ
- 事故点から電源側をみた全パーセントインピーダンスを確認します。問題文の条件より、基準容量100 MV・Aにおける電源側と変圧器を合わせた合成インピーダンスは、計算の結果8.0%となります。
- 二次側の基準容量 [MV・A]、基準電圧 [kV] を用いて、短絡電流の計算式に各値を代入します。
- 計算を進めると、 [A] となります。
- 得られた値は約10.9 kAであり、これに耐えうる遮断器の定格遮断電流として、選択肢の中から安全側(過小評価にならない最小の規格値)である12.5 kAを決定します。
電源側から事故点に至るまでの系統のつながりと、変圧器の百分率インピーダンスが、基準容量を統一した上でどう合成されているか図の構成を重ねてみると、電流の通り道が見えてきます。