第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問50
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令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問50 解説 問5 問5

設問図

問5 風力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) 風力発電は,風の力で風力発電機を回転させて電気を発生させる発電方式である。風が得られれば燃焼によらずパワーを得ることができるため,発電するときにCO2を排出しない再生可能エネルギーである。
  2. (2) 風車で取り出せるパワーは風速に比例するため,発電量は風速に左右される。このため,安定して強い風が吹く場所が好ましい。 ✓ 正答
  3. (3) 離島においては,風力発電に適した地域が多く存在する。離島の電力供給にディーゼル発電機を使用している場合,風力発電を導入すれば,そのディーゼル発電機の重油の使用量を減らす可能性がある。
  4. (4) 一般的に,風力発電では同期発電機,永久磁石式発電機,誘導発電機が用いられる。
  5. (5) 風力発電では,翼が風を切るため騒音を発生する。風力発電を設置する場所によっては,この騒音が問題となる場合がある。この騒音対策として,翼の形を工夫して騒音を低減している。

解説

風車が風から取り出せる出力(パワー)は風速の3乗に比例するため、風速に比例するという記述が含まれる選択肢(2)が誤りです。

風力発電における出力と風速の関係

風力発電機は、風が持つ運動エネルギーを回転エネルギーに変換し、それを電力に変換する仕組みです。このとき、風車が風から吸収できる理論的なパワー PP は、以下の関係式で表されます。

P=12ρAv3CpP = \frac{1}{2} \rho A v^3 C_p

ここで、各記号の意味は以下の通りです。

  • ρ\rho:空気の密度
  • AA:風車の回転面が掃く面積
  • vv:風速
  • CpC_p:風車出力係数(風車が風のエネルギーをどれだけ効率よく取り出せるかを示す割合)

この式から分かる通り、風車の出力 PP は風速 vv の3乗に比例します。つまり、風速が2倍になればパワーは 23=82^3 = 8 倍、風速が3倍になればパワーは 33=273^3 = 27 倍となります。風速が少し変化するだけでも、発電機が取り出せるエネルギーは劇的に変動するという性質があります。

風力発電の特性に関する判断

選択肢の内容を、風力発電の物理的・運用的な特性に照らして整理します。

  1. 風車出力の性質を特定する。風速の3乗に比例するという性質から、選択肢(2)にある「風速に比例する」という記述は、数学的にも物理的にも誤りであることを特定します。
  2. 他の選択肢の妥当性を確認する。選択肢(1)は再生可能エネルギーの一般的な定義、(3)は離島の燃料コスト削減に関する運用の実態、(4)は発電機として一般的に採用されている方式、(5)は環境対策としての翼形状の工夫について述べており、いずれも風力発電の特性として適切な記述です。
  3. 誤っている選択肢を決定する。風速と出力の関係を正しく表現していない選択肢(2)を、誤った記述として抽出します。

風車の回転数と風の吹き抜ける速さを重ねてみると、わずかな風速の変化が発電出力に大きな影響を与える様子が見えてきます。

参考リンク

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